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イタリアで開催される事になった世界会議。
「暖かくて良い所だからギル君もおいで」とイヴァンの気まぐれで、俺は久しぶりにロシアの屋敷から出た。
でも現時点で俺に出席する権利は無い。会議に参加することなく、宛がわれたホテルの一室で一人大人しくイヴァンの帰りを待っていた。本当は外に出て自由を味わいたかったのだが、外から施錠されてしまいそれも叶わない。俺は大きく切り取られた窓に腰掛け、町を眺めていた。
5階のこの部屋じゃあまり音は届かないけど、陽光麗らかなイタリアの町並みはそれはもぅ華やかで鮮やかで賑やかで。戦争の創が殆ど見受けられない程復興した活気溢れる綺麗な町はずっと観ていても飽きなかった。
どれくらい時間がたったのだろうか。ふと、ブラウン系の髪色が多い人込の中、ガタイの良いブロンドが浮いていた。隣には見覚えのあるイタリア人の背中。

「・・・フェリ、シ アーノちゃん・・・」

と、なればあのブロンドは

「ヴェスト・・・!」

後ろ姿だけど、見間違うはずが無い。
俺の弟、俺の王、俺の片割れ 俺の、ルートヴィヒ!
背が伸びたか
一段と逞しくなった
私服の色合いが少し明るい
歩く時の癖はそのまま
最後にあった日はヒデー傷負ってたけど、もう治ったんだな
よかった。よかった、本当に。
会議が終わってこれから二人で飯でも食いに行くのだろう。遠ざかる二人の後姿から俺は目を外せなかった。
俺の日々はやっぱり無駄じゃなかった。
愛する弟にちゃんと反映されてる。
お前がそうやって無事でいられるのなら俺はなんだって耐えられる。
嗚呼 もどかしい。
今すぐお前に会いに行きたい。こんなにも近くに居るのに。
でも、お前を守る為なんだ。俺は、俺の幸せを望んじゃ駄目なんだ。
お前の幸せの為に、俺は全部我慢するんだ。だって兄貴だから。騎士だから。
でも、ちょっとだけ、贅沢を言うのなら、こっちを見てくれ。
ほんの少しでいいんだ。
俺に、兄ちゃんに、お前の顔見せてくれよ。
安堵と、幸福感と、何かわからないいろいろな感情を混ぜながら二人を見つめていた。
と、ヴェストの半歩後ろを歩いていたフェリシアーノちゃんがヴェストの袖を引いた。
数瞬遅れてヴェストが こっちを見た。
正しくは振り返ってフェリシアーノちゃんを見た。
愛しい愛しい弟のその横顔は、幸せそうに微笑んでいた。

笑っていた。
幸せそうに。穏やかに
とても穏やかに、幸せそうに笑っていた。
笑っていたんだ。

まさに俺の望んだ横顔
お前の安らぎの為なら
お前の幸せの為ならば
俺は何でも耐えられる
それが俺の生きる意味
それが俺の最上の喜び




の筈だ。
そうでないといけない。
だって俺は騎士で兄貴だから。
そうじゃないといけないんだ。
そうだろう?
ヴェストが幸せそうで良かった。
本当に。
本当に?
本当に!



必死で自分を言いくるめる。
宥めすかして、湧き出る感情に蓋をした。
のに。
けど、だめだ、か、も。おれ、は、俺が、居たとこ、俺が俺のオレが俺がねじ込まれた場所は寒くて暑くて自由なんか何もなくて友人にも知人にも会いに行けなくて会えなくて自分の家にも帰れない宛がわれた部屋は独房の様で始終拘束されている様で心底嫌うそれこそ虫唾が視界に入るだけで虫唾が走るほどキライな奴に膝を折って夜はおちおち眠れない稀に眠れても見るのは悪夢ばかりで安らぎなんてどこにも無い嫌な事も屈辱的なことも我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して日々尽くしてくたくたの体からはひっきりなしに悲鳴が上がる休ませようにも落ち着く場所なんかここにはどこにも無くて大体そもそもそんな時間なんか無くって弱みを握られたく無くて痩せ我慢を続ければ酷使しっぱなしの体はますます悪化するばかり筋力も体力も削げ落ちて見るも無残で気持ち悪い貧相な体に嫌悪現実から目をはなしたくなって思い出に浸れば記憶の中の死者が断罪を叫びながら追いかけてくる夢かと跳ね起きればまた灰色の一日が始まって今日か明日か知れない自分の終わりの瞬間に怯える

なのに お前は

暖かい太陽と気の許せる友に囲まれ
何不自由無く暮らし 笑っている



今まで微塵も思ったことの無いどろどろした感情が満ちてくる。
息苦しさに気が付くと、知らない間に息を止め、食い入るように二人を見ていた。
遠ざかり、人込にまぎれて見えなくなると、全身から力が抜け、その場にずるずると座り込んだ。


兄貴だから当然
騎士だから当然
愛する弟の為に 
愛する王の為に
至極当たり前に
無償の愛なのだ
そう信じて過ごして来た
こんな感情今まで無かった不満は無かった
あいつの為なら
あいつが幸せなら
俺は満たされるんだ

そうに決まってる
そうじゃなきゃ駄目なんだ
だから こんな感情 嘘なんだ
こんな、こんな感情こんなのは
あっちゃ駄目なんだ
思っちゃ駄目だ
認めちゃ駄目だ
消えろ
消えろ消えろ 消えろきえろきえろ消えろキエロ消えろ消えろきえろ消えろきえろきえろ消えろきえろきえろ消えろキエロ消えろ消えろきえろ消えろキエロ消えろ消えろきえろ消えろきえろきえろ消えろキエロ消えろ消えろきえろきえろ消えろキエロきえろ消えろ消えろきえろ消えろきえろ消えろきえろきえろキエロキエロきえろキエロキエロ消えろ消えろ消えろ消えろきえろきえろ消えろキエロ消えろ消えろきえろ消えろキエロ消えろ消えろ消えろきえろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろきえろきえろ消えろキエロきえろ消えろ消えろきえろ消えろきえろ
消えてくれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!












                                         笑ってる
     あいつのせいで   痛いのに
      味わってみろ  俺は 毎日こんなに 辛いのに
        苦しみ             ずるい
 苦しいのに
     あいつは とても幸せそう  いいなぁ  ずるい
                だって
          ずるい    酷い      誰のせいで
             ずるい     羨ましい奴
              あいつのせいなのに
          俺の事なんか   ずるい    
        きっと     忘れてる    ずるい                            
                  薄情者
 





              なんで俺だけこんな目に









作品名:お願い 作家名:akira