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Tu m'aimes?

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 校内のそこかしこにいちゃいちゃしているカップルはいるが、それぞれ自分たちのことで頭がいっぱいのようで私のことに気づくひとはいない。私はそのまま歩き続けた。ふと気づくと禁じられた森の見える塔のてっぺんにいきついていた。座り込むととても寒かったので、呼び寄せ呪文で毛布を持ってきてくるまった。
 私はくるまりながら窓の外の景色を見つめた。禁じられた森の木々には雪が積もっていて幻想的だった。月明かりが静かに輝いていた。
「グレンジャーか?」
 いきなり声がしたので振り返った。そして私はびっくりして立ち上がった。
「何であなたがここにいるのよ?」
 そこにいたのはマルフォイだった。マルフォイはタキシードのままだった。
「お前こそ、ここに何をしにきた」
「私はただ――景色を見に来たの。ふらふら歩いてたらこんなところにいたの」
 私は思わず苦笑してしまった。なんだか寂しい女の子だ。
「ねえ、マルフォイ、私のこと馬鹿にしたでしょう、敵と踊るなんて。でも私、あんなにドキドキしたの初めてだったわ。今まであんなドキドキしたことなかった。でも本当に悲しかった。あんなに否定されて、どうすればいいの。もう訳分からないわ。私、ハリーを売ってなんかいないわ。あなたはこんなことに価値を見いださないだろうけど――」
「馬鹿にしたね」
 マルフォイがすぐに答えたので私は肩を落とした。
「やっぱりそうでしょうね」
「でも今日のグレンジャーは……なんというか、綺麗だった」
 私は思わずマルフォイの顔を見つめた。マルフォイは私の横に座った。マルフォイは笑いながら言った。
「パーティーのあとでおかしくなってるのかもしれないな。お前は、穢れた血なのに」
 マルフォイは寂しそうな顔をした。私はマルフォイの顔を見つめながら尋ねた。
「お世辞でしょう」
「お世辞なんかじゃない。全く、一人でぼうっとするつもりだったのに余計なことを話してしまった」
「じゃあ景色見ながら話しましょうよ。もし話すことがあるなら、ね」
 私は窓を見つめた。窓に反射して映るマルフォイは寒そうにしていた。私は毛布の半分をマルフォイの肩に掛けてやった。マルフォイの肩がぴくりと動いた。
「なんでそんなに優しくするんだ」
「お世辞のお返しよ」
 五分ほどぼうっとしていた。不意にマルフォイが話し始めた。

作品名:Tu m'aimes? 作家名:わかめ