世界一初恋 高x律 葛藤
【SIDE 律 Bパート 2/6】 --------------------------
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン
ブーッブーッブーッブーッブーッブーッブーッブーッブーッブーッ
騒々しい程の玄関のチャイムとドアを蹴る音、そして携帯の振動
犯人はあの人。今は逢いたくないんだけど・・・
渋々ベットから起き上がり、まだ鳴りやまない携帯を手にて玄関に行く
ガチャリ
「何だ?居るならさっさと出てこい」
「近所迷惑です」
「寝てたの?」
「はい。だから帰ってください」
ドアを閉めようとすると、ガシッと高野さんの足が割り込んだ
「一緒に寝よう」
「はぁ?」
「うさぎは寂しいと死んじゃうんだ。俺うさぎね」
「どう見ても野生のライオンぐらいにしか見えませんが?」
「じゃ、お前がうさぎ。寂しくならないように一緒に添い寝してあげる」
「結構です!」
押し問答を繰り返していると、高野さんは無理やりグイッとドアを引き、中に入ってきた
そのまま俺の制止を聞かず、ズカズカと部屋の中に入る
「もう!高野さん!帰ってください!」
「俺、今日疲れてるんだわ。さっさと寝よう」
「疲れてるなら自分の部屋で寝ればいいでしょ!?」
「お前と一緒じゃないと疲れは取れない」
「なっ・・何言ってるんですか!」
いくら俺が虚勢を張っても、高野さんは「ほら寝よう」と言って腕を引っ張り寝室へと連れ込む
「・・・何もしないでくださいね。明日だって仕事があるんですから!」
「何?期待してるの?」
「なっ!そんな訳ないでしょ!」
「ご期待に添えましょうか?」
「結構です!!」
俺はそそくさとベットの中に入り、高野さんに背を向けて横になる
高野さんは上着を脱いで、そっとベットに入った
二人で寝るには狭いベットの中
必然的にくっ付いて寝てる状態になる訳で・・・
さっきまで睡魔が襲ってきてたのに、今は眠ることができない
あーーもう!何なんだよ!
「抱きしめていい?」
と言ってる割には、既に俺は高野さんの腕の中で・・・
「聞く前に抱きしめてるでしょ」
「お前と一緒だと落ち着く」
恥ずかしいことを躊躇なくいうな!
ちょっぴり嬉しいと思う自分がやっぱり情けない
「小野寺、顔見せて」
お願い・・と言われると、自分も高野さんに甘くて・・・
渋々身体の向きを変え、高野さんと向き合う形になった
高野さんは凄く嬉しいそうに俺の額にキスをひとつ落とすと、俺の頭を抱えるように抱きしめた
「小野寺、好き」
髪にキスひとつ
「好き、好き」
目尻にキスひとつ
「律・・愛してる」
鼻の頭にキスひとつ
「おやすみ」
と言って、軽く唇にキスひとつ
悩むことなんてない。
だって、今俺の目の前にいるのは高野さんで、このぬくもりは高野さんのもので
どうしたって俺はこの人から離れられなくて・・・
”嵯峨先輩”であり”高野さん”であり、俺は同じ人に二度恋をしてるんだ
「おやすみなさい。高野さん」
既に寝ている高野さんの腕の中で、俺はそっと呟いた
作品名:世界一初恋 高x律 葛藤 作家名:jyoshico