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世界一初恋 高x律 葛藤

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【SIDE 高野 Bパート 1/2】 ---------------------------

小野寺が実家に戻ったあたりから、様子が変だった
周期前にも関わらず、目の下に隈をつくり、なんだかカラ元気な気がしていた
実家で何かあったのかもしれない

それでも俺は、アイツが話してくれるまで待った

ある日、実家に戻るから有給を取ると申請された
別に忙しい時期ではなかったから、俺は「どーぞ」と返事を返した

朝、いつもより早く目覚めると、隣のドアが閉まった音がした
時間を確認すると、朝の7時30分
実家に帰るにしては早くないか?

俺は廊下に出て、地上を伺うと、黒塗りの高級車が横付けされていた
小野寺がエントランスから出てきた
アイツ・・・なんてスーツ着てんだ?

運転席から出てきた男は、多分「安岡」という奴だろう
後部座席のドアを開け、小野寺を迎えている

ムカつく!

なんでアイツは俺に何も話さないんだ?
その日一日は散々周りに当たり散らし、イライラした気分のまま終業を迎えた



アイツはもう帰って来てるだろうか?
今は夜の9時過ぎ。寝るにはまだ早い時間だ

俺は自宅でラフな服装に着替えた後、隣の部屋へと向かった
部屋のチャイムを鳴らし、ドアを蹴り、携帯を鳴らす
暫くすると、ガチャッと鍵が開く音がした

「何だ?居るならさっさと出てこい」

「近所迷惑です」

「寝てたの?」

「はい。だから帰ってください」

アイツはドアを閉めようとしたから、咄嗟に足を挟んで阻止する
「うさぎ」だ「ライオンだ」と押し問答を繰り返し、俺は力ずくで部屋に入って
アイツを抱きしめて眠った

無理やりは聞かない
だけど、いつかは話してくれよ?律・・・



修羅場突入になると、小野寺のことを構う暇もなくなり、アイツも一心不乱に作業をしていたので
校了明けにでも、酒を飲まして聞き出そうと考えていた

無事校了し、「そろそろ聞き出すか・・」と思っていた折り、井坂さんに呼び出された
話しを聞くと、文芸部で欠員が出た為、臨時で補充をしたいとのこと
元々小野寺は文芸編集経験者でもあるし、角先生の前担当者でもある
いささか井坂さんの話しに裏を感じたが、上司命令となれば断る理由もない

小野寺を文芸部署への出向を承諾した

同じ会社に勤めているが、フロアーは異なる
でも家は隣同士だから何時でも逢えると安心していたのが間違いだったか・・
まさかこんなにすれ違うとは思ってもいなかった

偶に小野寺を見かけると、井坂さんと何やらコソコソ話している
自宅に帰っても、ベランダ越しに隣を伺えど明かりはついていない

「アイツはいつ帰って来てるんだ?」

休みの日になっても家には居なく、時折「安岡」が出入りしていることは知っていた
逢いたい、声が聞きたい、触れたい・・・
俺もそろそろ限界だった

何で、俺に逢いに来ない?
どうして土日は家にいないんだ?
誰と!何処に!行ってるんだ?

お前にとって、俺は何だ?ただの上司か?隣人か?
何故、「安岡」が合いカギを持ってるんだ?

思考がネガティブに陥った俺は、無意識に小野寺を避けるようになっていた

作品名:世界一初恋 高x律 葛藤 作家名:jyoshico