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世界一初恋 高x律 葛藤

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【SIDE 律 Cパート 1/5】 -------------------------

部屋に戻り、リビングの明かりを付ければテーブルの上に夕食が置かれていた
「安岡さん、今日も来てたんだ」

洗濯物は畳まれ、夕飯はラップがされており、そのまま温めれば食べれる状態になっている
部屋に戻るまで平気だった涙腺は崩壊し、意識せずともポロポロと涙が流れる
止めようと思っても止まらない・・

「俺・・何してんのかな・・・」
高野さんの傍に居たくて、それでも後一歩踏み出せなかったのは、全部周りのせいにしてきたけど
本当はたった一言「好き」って言葉を、勇気を持って伝えれば良いだけのことなのに・・
掴み取ろうとした俺の未来は、呆気なく零れ落ちてしまった

「・・高野さん、すごく哀しい顔をしてたな・・・」

結局俺は、昔も今も変わらず、高野さんを傷つけ悲しませている
横澤さんの云った通りだ・・・・

『政宗の目の前をウロチョロするなと言ったはずだ』
『これ以上、あいつを振りまわすな迷惑だ』

このまま近くにいたら、もっと高野さんを傷つけるかもしれない
俺が曖昧な態度だから・・・・

「距離・・・を・・置こう・・・」
この状況を打破する為には・・・隣人という関係を清算した方が手っ取り早いかな

俺は携帯で夕飯のお礼と共に、「お願い」を聞いてもらうよう、安岡さんに連絡した



電話して1時間も経たない内に、安岡さんは俺の部屋に来ていた
電話した際の俺の声に心配し、駆け付けたとのことだ
みっともない・・・25歳過ぎの男が泣きながら電話してきたら、普通は引くだろう・・

嗚咽の止まらない俺の背中を、ゆっくりと擦りながら何も言わずただ傍に居てくれた
たったそれだけのことなのに、今はとても嬉しい

少し落ち着いてきた頃、安岡さんは「新居の件ですが」と話しかけてきた

「よろしいのですか?」
俺はコクリと頷き、まだ顔を上げることが出来ない

「それでは早急に手配致します。場所等の希望はございますか?」

「・・どこでも・・いい」
かしこまりました。スクッと立ちあがり、コーヒーの準備をし始めた

香りの良いコーヒーにミルクを入れて、「落ち着きますよ」と優しく声を掛けてきた
俺はマグカップを受け取り、少しずつ口に含む
ミルクの甘さが広がり、ほっと一息いれることが出来た
俺は安岡さんにお礼を言って、また一口飲む

安岡さんは何も聞いてこない
多分、気付いてるから聞いてこない

ぼぉーとしてると、「律様」と安岡さんが声を掛けてきた

「何?」

「これからどうしますか?」

「どう・・って・・何が?」

「・・・小野寺へお戻りになりますか?」

「ううん。俺はまだ父さんとの約束があるから戻らない」
安岡さんの目を見て俺はハッキリとした口調で答えた

「意思は強いのですね。」

「うん。迷惑かけてごめんね」

安岡さんは頭を左右に振り「気になさらないで下さい」と答え、結局俺が寝付くまでずっと傍にいてくれた



寝ている間に安岡さんがタオルで目を冷やしてくれたおかげで、
瞼は腫れておらず、これなら出社しても問題ない!という状態だった

昨日食べなかった夕食を温め直して朝食代わりにし、
安岡さんは「お気をつけて行ってらっしゃいませ」と玄関まで見送ってくれた

一晩泣いたら以外とスッキリした
安岡さんが居てくれたからかな?
やっぱり兄貴がいれば、こんな感じなのかもしれない
俺はダメな弟だけど・・・

今日も一日頑張ろう!と気合を入れて職場に向かう
大丈夫、普段通りにしていれば問題ない

ところで俺のコンビニ弁当は何処?

作品名:世界一初恋 高x律 葛藤 作家名:jyoshico