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世界一初恋 高x律 葛藤

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【SIDE 律 Cパート 2/5】 -------------------------------

予想はしてたけど・・・
社内ですれ違っても高野さんは俺のことを見ることは無かった
まぁーそんなもんかな
結構冷静な自分に苦笑いする

廊下を歩いていると、前方から井坂さんが歩いてきた
「よう!七光り!」

「お・の・で・ら・です!」

「アレ?俺の予想ハズしたかな?」

「なんのことですか?」

「てっきり瞼が腫れてお岩さんみたいになってると思ったんだけどなぁー」

「俺で遊ばないでください!」

「ふーん。何があった?」

「あー最優先懸案事項が一つ無くなっただけですよ」

「最優先?あーー良い方に?悪い方に?」

「俺的には悪い方に。あっでも大丈夫です。俺、結構冷静なんですよ」
ニコニコと笑って答えると、井坂さんは急に真剣な表情になって俺の肩を掴んできた

「本気で言ってんの?」
俺は首を傾げ「ええ。本気ですよ」と答え、それじゃ失礼します。とその場を離れた

井坂さんは何か言いたげだったけど、俺としてはこれ以上蒸し返されるのはイヤだし
何よりも、今は公私混同したくない

仕事もひと段落し、さて帰るか・・と準備をしていると携帯が鳴り慌てて出た
『律様』

「あーごめん。会社出てから掛け直すけどいい?」

『車を正面玄関に廻しております』

「うん。分かった」

簡単に話し、電話を切る
昨日の件もあるから、きっと安岡さんは心配してるんだろう
引越しの準備もしなきゃだし、これから結構忙しくなりそうだ・・・



車に乗り込み、安岡さんに「実家に行って欲しいと」と頼んだ
そろそろ角先生の原稿を纏めて制作へ渡して
デザイナーと表紙のイメージを固める作業に入らないといけない

今の内に出来ることをして、作業量を減らしておかないと、校了まで身が持たない
俺は車内の中で、段取りを考えていた

父の様子を伺い、段取りを確認し、必要最低限の資料に目を通す
作業が終わった頃には既に日付が変わっていた
今日はこのまま実家に泊っても良かったのだが、何だか落ち着かず、
無理を言って車で送ってもらうことにした

ぼぉーと流れる景色を見ながら、今日のことを思い出しクスッと笑った
「何か?」
安岡さんが信号待ちで止まった時に話しかけてきた

「いやね。俺って結構冷たい人間なんじゃないかな?って思って」
安岡さんは何も答えず、ただ前を向いていた
俺も別に何か返事が欲しかった訳ではないので、ただ窓の外を見ていた

「あっ・・・」

つい声が出てしまった・・
シティーホテルから出てきた人物
高野さんと知らない女性が腕を組んで歩いている

作家さんんと頻繁に飲みに行くのは知っているが、みたこともない女性
清楚で可愛らしい、栗色のショートカットの女性

俺の中で何かが音をたてて崩れるような気がした
「ははっははは・・・」

出てきたのは渇いた笑い声
そっか・・・そうだよな。俺、何勘違いしてんだろう?

安岡さんも高野さんに気付いたらしく、窓の外を凝視している
「律様・・・」

「大丈夫だよ。安岡さん。」
信号が青になり、車は高野さんを追い越す
俺はシートに深く座り、天井を見つめる

「出会わなければ良かったかも・・・」
ポツリと呟いた言葉は安岡さんの耳に届いたか分からないが
俺はジッとただ上を向いていることしか出来なかった

作品名:世界一初恋 高x律 葛藤 作家名:jyoshico