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世界一初恋 高x律 葛藤

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【SIDE 高野 Dパート 1/2】 ---------------------------


週明け、昼過ぎに会議が終わった足で文芸部へ向かった
もちろん小野寺を捕獲するためだ
しかし、部署内を見渡しても小野寺の姿はない

飯でも行ったのか?

文芸部編集長に声を掛け、「小野寺はどこにいる?」と聞くと、「急な用事で今日は帰宅した」と答えた
それなら仕方ないと携帯に連絡を入れるが、繋がらない
手早くメールを打ち送るが、あいつは見るだろうか?

その日の夜、小野寺の携帯にもう一度電話するが、また繋がらない
部屋のチャイムを鳴らしても出てこない

今日も実家に戻ってるのだろうか・・・
一体、今小野寺の周りで何が起こっているのかわからなかった



翌日、部決会議用の資料に目を通していると、井坂さんがやってきた
「高野、話しがある」
俺は井坂さんに言われるがまま後を追い、空いている会議室へと向かった

「小野寺のことだが、本日付で休職扱いとなった」

「え?どういうことですか?」

「ちょっとな・・・家庭の事情ってやつだ」

「・・・・・・・」

「お前さ・・・いや・・何でもない」

「何ですか?」

「とりあえず、エメ編メンバーにはお前から伝えておけ
 話しはそれだけだ」

井坂さんが部屋から出る瞬間、俺は無意識に腕を掴んだ
「・・・休職って・・いつまでですか?」

「さぁーな」

苦しい・・・心臓が痛い・・・息が出来ない・・・
・・・・気持ち悪い

独り部屋に残された俺は、その場にしゃがみ込み、頭を抱えた



何度、電話しても繋がらない
何度、家に行っても出てこない
何度、メールを打っても・・・返事がこない

気が狂いそうだ
また・・・俺の前から消えた
ちゃんと俺がアイツの手を掴んでないから・・・離れてしまった

履歴書から実家の番号を調べ、電話を掛ける
家政婦が応対してくれたが、小野寺は戻って来てないと言う

家に直接行っても、「居ないから帰ってほしい」と言われる

じゃ、アイツはどこにいるんだ?

隣の部屋からは人の気配がしない
今まで一週間以上も家に帰らないなんてことは無かったハズだ

不安の波が押し寄せる

管理人室へ行き、小野寺の部屋番号を伝えると「引っ越した」と告げられた

マジかよ・・・

信じられなかった俺は、管理人に無茶を言って部屋のスペアキーを借りた
鍵を開け、中に入ると、そこはただの空間だった

何もない。綺麗にすべて・・・まるで最初から住んでいなかったように・・・・

俺はその場に崩れ落ちた
目頭を手で覆い、嗚咽を漏らし、只々小野寺の名前を呼んだ

「り・・つ・・・りつ・・・・律っ!」

作品名:世界一初恋 高x律 葛藤 作家名:jyoshico