世界一初恋 高x律 葛藤
【SIDE 高野 Dパート 2/2】 ---------------------------
手掛かりがないまま、毎日が過ぎた
仕事をしている時はまだいい
余計な事を考えず、一心不乱に没頭できる
だが、仕事が終わると小野寺のデスクを見つめてしまう
アイツの荷持つは机の上にまだある
もしかしたら、取りに戻ってくるかもしれない
そしたら・・・
すぐに捕まえて、もう離れないように俺の部屋に監禁して、外部との接触は一切断ち切って
俺なしでは生きていけないようにして・・・・
小野寺への愛が重すぎて、俺はどんどん醜い考えをしてしまう
誰も居ないフロアーに俺の溜め息だけが響く
「高野、まだいたのか」
「井坂さん。お疲れ様です。
丁度俺も帰ろうと思ってたところですよ」
何か俺に用事でも?」
「あぁ。ちょっとしたアドバイスをしにきた」
「アドバイスですか?企画書の?」
怪訝な顔をすると、「まぁー聞けよ」と近くの椅子に腰かけた
「お前さ、”灯台もと暗し”って言葉知ってるか?」
「ええ。勿論知ってますが?」
「意味も知ってるよな?」
「・・・身近な事情はかえって分かりにくい・・ってことですよね?」
「そうそう。今のお前ソレだよ」
「はぁ?」
「まぁーよく考えてみるんだな」
俺は井坂さんが何を言いたいのか分からず、眉間に皺を寄せていた
「龍一郎様、それでは高野さんに伝わりませんよ」
いつの間にか部屋に入っていた朝比奈さんが井坂さんに声を掛けた
「えーー分かんないの?敏い鬼編集長様なら分かると思ったんだけどなぁーー」
仕方ねぇーなー大サービスだ!と言って、俺の肩に手を乗せ耳元で囁いた
「お前の思い人は、そんなに遠くに離れていないってことだよ」
邪魔したな!と言って、スタスタと部屋を出て行った
井坂さんの言葉を脳が理解するのに時間がかかった
俺の思い人・・・小野寺のことか?
遠くに離れていないってことは、近所にいるのか?
携帯を手にし、羽鳥を呼び出す
「あー俺、高野だけど。
わりーけど、明日、明後日と有給とるわ
後の事任せたから」
ブチッと電話を切り、鞄を手に部屋を出る
アイツの行きそうなところをしらみ潰しに探してやる
待ってろよ!律!
作品名:世界一初恋 高x律 葛藤 作家名:jyoshico