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世界一初恋 高x律 葛藤

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【SIDE 律 Eパート 1/9】 ---------------------------

以前の携帯は解約した
父とはあの日以来、話していない
安岡さんに聞いた話しでは、職務に復帰しているとのことだ

いつまでもグダグダと考えても始まらない
パンッと両頬を叩き、気合を入れ、明後日の資料に目を通すが
やっぱり何も頭に入らない・・・

活字を目で追っても、考えているのは高野さんのことばかり・・・
本当女々しい
ハァーと溜め息を付き、気分転換にベランダへ出た

あーまだ明るいなぁー天気いいなぁーそういえば俺最近外で歩いてないな・・・
久しぶりに図書館行こうかな

思い立ったら吉日。早速財布と携帯を手にジャケットを引っ掛けて
ご近所の図書館へ向かった



小さい図書館だが、煉瓦作りで雰囲気も良くて、引き寄せられるように中に入った

独特の本の香り
落ち着くなぁー

書架をひと通り周り、一冊の本のタイトルを目にする
あーこの本・・・嵯峨先輩に取ってもらった本だ・・・
って言うか、毎回どうして手の届かないところにある!?

背伸びしても取れず、三脚を探そうと思った時、ふっと背後に人の気配を感じた
「はい」
届かなかった本を受け取り、「ありがとうございます」と振り返ると、そこには・・・

「た・・・・・かの・・・さん?」
一番逢いたくて、一番逢いたくなかった人物が何故か背後に立っていた
咄嗟に逃げようとしたが、襟首を掴まれ「逃げるな」と低い声で俺を捕らえる

高野さんはグイッと俺の向きを変えて、正面に向き合う形になった
俺は顔を見ることが出来ず、顔を背けていると
「どこ行ってたの?」
と口調は優しいが、俺の両肩に掴まれたところはギリッギリッと締め付けられうように痛い

「い・・痛いです・・」
高野さんの指が食い込むかのような痛さで、俺の骨が悲鳴を上げている

「どこ行ってたの?」
もう一度同じ質問をしてくる

「・・どこでも・・・高野さんには関係ないでしょ・・・」

「俺には関係ないの?」

「ええ・・関係ありません。離して下さい」

「じゃ何で泣いてるの?」
え?・・・

「どうして泣いてるの?」
俺・・泣いてるの?
左手で目元に触れると、涙が流れていることに気が付いた

「何で?」

「こっこれは、高野さんが俺の肩を・・掴んで痛いからですよ!」
きっとそうだ
痛くて涙が出てるんだ

「ふーん。あっそ」
そう言うと、掴んでいた肩を離した

高野さんの横を通り、貸出コーナーで手続きをして外に出ようと玄関に向かうが・・・
外の壁に寄りかかりながら、高野さんは腕組みして待っている

一旦戻った方がいいかな・・・
って言うか、この図書館って他に出入口ないのかな・・・

出口に向かっていた足を翻し、図書館員に声を掛け他の出口はないか聞くが、
小さな図書館は一か所しか出入口が無いことが判明し、ガッカリする

うーん・・・トイレの窓とかから脱出するってのはどうだろうか?
追われているって言って、職員用の裏口から出してくれないかな?
グルグルと考えていると、痺れを切らした高野さんがいつの間にか近づいてきて、腕を引っ張り外に連れ出す

「ちょっ・・高野さん!」
図書館から少し出たところで、俺は高野さんの腕を振りほどき、少し上がった息を整える

高野さんはジッっと俺を見つめ・・・と言うより睨んでいるに近いのだが、
まるでメデューサに石にされた気分だった

「お前のうち、どこ?」

「どっ・・どこだっていいでしょ!」

「どこ?」

「しつこいですよ!」
俺はキッと睨みつけると、泣くのをグッっと我慢しているような表情の高野さんと目が合った

「どこ?お前のうち、どこにあるの?」
ギュッと抱きしめられ、「どこ?」と繰り返し聞いてくる

その声は少し震えていて、俺の心臓の音なのか高野さんの音なのか良くわからないけど
ドキドキドキと早くて・・・ただ縋るように俺が答えるまで身体を離さなかった

作品名:世界一初恋 高x律 葛藤 作家名:jyoshico