世界一初恋 高x律 葛藤
【SIDE 高野 Eパート 1/5】 ---------------------------
翌日から、俺は律を探すために走りまわった
小野寺の行きそうな場所・・・
コンビニ、本屋、そして図書館
”灯台もと暗し”と云ってたので、今住んでいる最寄駅から前後の場所を手当たり次第探した
コンビニや本屋では店員に携帯で撮った小野寺の画像を見せ「見かけたことない?」と
尋ね、図書館ではアイツが好みそうな文芸の本を手に取り貸出カードを確認する
息つく暇もなく、ただ只管(ひたすら)に探した
*
「ここが最後か・・・」
自宅マンションとは正反対の方向にある図書館
以前、林さんと逢った時に見かけたのを思い出した
中に入り、ゆっくりと書架に続く通路を確認する
すると、この時間には似合わない成人男性を見つけた
遠くからでも分かる・・・
ドキッ!
心臓が跳ねた・・・
「見つけた・・・」
俺は気付かれないように静かに背後に回り込み、小野寺が取ろうとした本を代わりに渡すと
突然逃げようとしたので、襟首を掴み「逃げるな」と地を這う程低い声で引き留めた
掴んでいた肩が痛いと涙を流す・・・
違うだろ?肩が痛くて泣いてる訳じゃないだろ?
だってお前、俺の顔みた瞬間に涙を流してたよ・・・
一旦手を離すと、サッと俺の横を通り逃げて行く
俺は図書館の玄関の外で壁にもたれ掛り、腕組みをして小野寺が出てくるのを待った
玄関付近で俺を確認すると、図書館の中に戻り何やら館員に聞いている
恐らく「他に出口ありますか?」なんて尋ねてるんだろう
なんて往生際が悪いんだ
いつまで経っても出てこない小野寺に痺れを切らし、
アイツの腕を捕まえて、無理やり外に出した
*
小野寺を逃げられないように抱きしめなあら、「お前のうち、どこ?」と尋ねても答えない
何度「どこ?」と尋ねても答えてくれない
今俺の腕の中にいるハズのなのに、力を込めて存在を確認するように抱きしめても
何の反応はしない
仕舞には睨まれ「どこだっていいでしょ!しつこいですよ!」と俺を突き放す
それでも諦めずに「どこ?お前のうち、どこにあるの?」としつこく言うと、
小野寺は観念したのか、俺を自宅へと案内した
作品名:世界一初恋 高x律 葛藤 作家名:jyoshico