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世界一初恋 高x律 葛藤

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【SIDE 高野 Eパート 2/5】 ---------------------------

綺麗に掃除された部屋は、以前の小野寺の部屋と配置は左程変わってなく
ここが俺の隣部屋じゃないって事実だけが重く圧し掛かる

渡されたコーヒーを飲みながら、ジッと小野寺を見つめる
居心地が悪そうになった小野寺は「仕事はどうしたんですか?」と話しかけてきた

「今日は休み」
ポツリと返事を返すと、「はぁ・・そうですか・・・」とブツブツつぶやく
お前を探すために今日は休んだんだ
それぐらい察しろよ!

その後ダンマリを決めた小野寺にイライラした俺は
「あのさ。お前辞めるの?」と聞くと、きょとんとした顔で俺を見る
続けて「また、俺の前から消えるの?」と聞いても何も答えない

小野寺は落ち着いていて、余計イライラする・・・

「何か言えよ」と怒りが露わになった声で問い詰めると
「丸川は既に退職してますよ?井坂さんから聞いてませんか?」
「おっかしいなぁー」と首を傾げて答えやがった

「ぶざけんな!」
声を荒げて怒鳴り付けると「何言ってんの?」とまるで他人事のように云った
頭に血が昇った俺は小野寺の襟首を掴み立ちあがらせると「痛いな・・乱暴は辞めて下さい」と
落ち着いて答えた

コイツ、自分の云ってること分かってるのか?
なんで、離れて行くんだよ!
どうして、俺を置いて行くんだよ!
また・・・俺を独りにするのか?
俺を・・捨てるのか?

思ってたことを口にした途端、涙が流れた
置いて行かないで・・・独りにしないで・・・
縋るように小野寺を抱きしめた



暫く無言のままでいると、小野寺がオズオズと俺の背中に手を廻してきた
そのあと、俺に彼女がいるやら毎晩深夜帰宅してるやら
ブツブツ話し始めた

あー林さんのことを言ってるのか
って云うか、見てたのか?

なんだ・・・コイツ俺に嫉妬してるのか
そう思ったら、少し気持ちが浮上してきた

「お前、妬いてんの?」と聞いても「俺には関係ない」と云い、「嫉妬?」と聞いても「別に」と答える
調子に乗って「俺って愛されてる?」と聞くと「何故そうなる?」と淡々と答えた小野寺をギュッと抱きしめる

耳元で「律、俺の傍にいて」と囁くと「タイムオーバーです」と答えた
は?何言ってんだ?
「時間切れです」ともう一度云い直し「俺、今月中に渡英しますから」と国外逃亡を宣告してきた

いつ戻ってくるのか、暫くってどのぐらいなのか?
淡々と冷静に答える小野寺を一度引離し顔を伺う

「本当ですよ」
俺の目を見て答えたその台詞は嘘ではないようだ

まだ間に合うだろうか・・
引き留めるために何か伝えようとすると「高野さんが俺の事を拒絶したのがいけないんです」と
理解できないことを言い出した

以前、俺が「お前の事、分かんなくなった」と云ったことを、俺が小野寺を拒絶したと捕らえたらしい
俺がどんなに口説いても頑なに「好き」と云わないからだろ?
馬鹿なやつ。素直になれよ・・・でもそこが可愛いんだけど・・・

押し問答を繰り返し、「旅行じゃないんですから、キャンセルなんてありませんよ」「無責任すぎます」と
キャンキャン吠えるから「それでもお前と一緒にいたい」と伝えた

作品名:世界一初恋 高x律 葛藤 作家名:jyoshico