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世界一初恋 高x律 葛藤

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【SIDE 高野 Eパート 3/5】 ---------------------------

攻防戦が続くなか、電話が鳴り俺の腕をすり抜けていった

ジッと話しに耳を傾けていると、また『安岡』という奴からの電話だった
イライラした俺は受話器のコードを引き抜き「お前は俺のものだ」と宣言した後
小野寺の腕を引っ張ってベットへ放り投げた

暴れる小野寺の両手をしっかりと頭の上で拘束し身動きが取れないようにマウントを取る
そのまま強引に口づければ「や・・止めてくだ・・さい!!」と力強く拒否された

なんでお前は俺を受け入れないんだ
「お前なしでは、生きていけない」
視線を逸らさず俺の気落ちを伝える
お前はどう思ってるの?
本当の気持ちを教えて・・・

小野寺は言葉に詰まり「俺は・・・」と言った後何も答えない
あぁ・・お前の表情を見れば分かるよ
伊達にずっと見ていた訳じゃない

今のお前・・・すっげー愛しい顔してるよ
「律、愛してる」この一言で分かるだろ?

俺は拘束していた小野寺の両手を離し、優しく包み込む
「ごめん」
10年前も俺のせいでお前を勘違いさせて、10年後も同じように勘違いさせた

「キスしたい・・・いい?」小野寺の意思を確認したくて、耳元で囁く
俺の鼓動はドキドキして・・もう余裕なんて無くて・・・理性もギリギリで・・・
お前に俺を受け入れもらいたい
俺は今も昔も中途半端な気持でお前に接している訳じゃない

小野寺はコクンと頷いた
良かった・・・もう離さない・・・

「抱くぞ」

俺の想いを全て小野寺に注ぎ込んだ
俺を見て・・俺を感じて・・俺を・・・愛して



情事の後、ポツリポツリと小野寺と音信不通になった時の・・・俺の心情を含めて話した
サラサラする髪を梳きながら、思い出すと神経が逆なでする思いを抑えながら
ゆっくりと、その時の気持を伝えた

小野寺は俺の話しを静かに聞いてた
図書館で見つけたことを伝えると、苦笑いしながら

「で、俺はまんまと見つかったってことですか?」
「俺って間抜けですね」

俺は運命だと思ったよ
もうお前と離れることなんて出来ないいんだ

「結構な自信家ですね」お前はそう言うけど、俺だって不安なことは沢山あるんだ
だけど、今まで神様なんて信じてなかったけど、お前を見つけた時は信じたさ
俺達はもう離れることは出来ない。俺の半身はお前なんだと・・・

小野寺は恥ずかしがって答えなかったけど
それでもいいさ。素直じゃないお前も可愛いと思うし、愛しい・・・

困っている小野寺に「分かったよ・・・おやすみ」と伝えた



翌朝「高野さん?仕事は?」と小野寺が怪訝そうな表情で尋ねてきた
「今日も休み」
そう答えると、「・・・ありえない・・」とボソッと呟いた

「仕事行って下さい!」
丁度ネームチェック時期ということは小野寺も知っている
ネームチェックは編集長である俺の作業だが、今回は羽鳥に任せてある旨を話すと「仕事放棄かよ・・」と
ぶつくさ文句を言う

俺にとって仕事より、お前の傍にいることの方が何十倍、何万倍も重要なんだよ

ピンポーンとチャイムが鳴る
昨日の電話で『安岡』が来ることは知っていた
小野寺は俺に釘を刺すかのように「大人しくしててくださいよ!」と云って玄関へ向かう

今日、事と次第によっては小野寺を拉致して連れ去ろうと考えていた
そんな俺の考えとは裏腹に「明日は監視付きですが、今日は違いますよ?」と俺をチラリと見た後に安岡は言う

「それってどういう意味?」
安岡の真意が知りたくて、俺は身を乗り出して問いかけた

「言葉の通りです」
つまり、今日のうちに逃げればいいってことだよな?

「律、俺と一緒に行こう」
小野寺の腕を引っ張り、愛の逃避行を画策したが、「ダメですよ」と少し苦笑しながら答える

「何で?」
エメラルドの瞳を俺に向け、目を逸らさず「俺一人の我儘で許される事態じゃないってことです」と伝えた

万事休すか・・・
真剣な眼差しの小野寺を見れば、決意が固いことは火を見るより明らかだった
コイツはちゃんと自分で考えて、答えを導きだしたんだ
だったら・・・俺はどうしたらいい?
俺がお前にしてやれることは何だろうか・・・・


作品名:世界一初恋 高x律 葛藤 作家名:jyoshico