世界一初恋 高x律 葛藤
【SIDE 高野 Fパート 4/4】 ---------------------------
結局、小野寺は俺の部屋に泊り、翌朝俺は出勤準備をしていた
「そう言えば、お前仕事どうすんの?」
小野寺出版に戻るのかとも思ったが、昨日話しを聞いたらそんな雰囲気ではなかった
「就職活動中です」
無職なんですよ。俺。と言ってケラケラ笑う
「養ってあげましょうか?」
「遠慮します」
俺だって、まだ働き盛りですよ!とクッションを投げつける
俺はボスッと落下したクッションを拾い上げながら
「入稿時期だから、俺家を空けるけど、これ持ってて」
ポケットから取り出した鍵を小野寺に渡す
「なんですか?これ?」
「合いカギ」
何時来てもいいから。そう耳元で囁くと、ボッと顔を赤く染めオロオロし始める
そんな姿も可愛くて仕方ない
「じゃ・・ちょっと待って下さい!」
小野寺は鞄の中をゴソゴソと探し、キーホルダーを取り出した
「こ・・これ・・・」
俺の手の平に渡されたのは、さっき渡した同じ形状の鍵
「おっ・・俺も・・・高野さんに鍵渡そうと思ってて・・
だからっ・・その・・・先に高野さんから受け取っちゃって少し混乱しちゃって・・・」
「嬉しい。ありがとう律」
あたふたする小野寺を抱きしめ、額にキスを落せば、伝家の宝刀上目使いで「いいえ。こちらこそ」と
答えるから・・・俺、仕事行きたくなくなった・・・・
「休もうかな」
「は?何言ってるんですか!編集長がズル休みなんてしたら俺タレこみますよ!」
「ひでーな。お前」
「ほら!そろそろ時間ですよ!」
グイグイと背中を押され玄関まで追いやられる
「気を付けて、行ってらっしゃい」
あ・・なんか良いなこれ。新婚みたい
「ん。行ってきます」
チュッと音を立て唇に触れると、またもやギャーギャー騒ぎ出した
「あー俺、今幸せだわ」
廊下を出て空を見上げると、絵具で塗り潰したような真っ青な空が広がっている
俺を取り巻く世界は、驚くほどの色彩に溢れ、輝きを増していく
これから律と二人、ずっと一緒に
楽しいこと、悲しいこと、辛いこと、嬉しいことすべてを共有して生きて行きたい
死が二人を分かつまで・・・ずっと一緒に・・・・
作品名:世界一初恋 高x律 葛藤 作家名:jyoshico