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世界一初恋 高x律 葛藤

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【SIDE 高野 Aパート 1/1】 ------------------------

−−ずっと焦がれていた思い人は、神様の気まぐれか悪戯なのか、
突然俺の前に現れた −−

高校生の頃、俺を取り巻く世界は輝きはなく、ただ息をして生きているだけの日々だった
両親は顔を合わせれば謂い合いし、俺のことなど見向きもしなかった
幼い頃は、俺を見て欲しくて足掻いていたが、中学に入った頃から諦めた

両親に愛されることのなかった俺は、他人との距離を置き、関心を持たないようにした
キズつくのはイヤだから

親の愛情を知らない子供だった俺は、結構歪んだ性格の持ち主だったと思う

誰か俺に気付いてくれるかも?と淡い期待を捨てられず、
何人か付き合ったりしたが、結局長続きしなかった

そんな時、律と--『織田律』と出会った
突然告白された時はコイツ何言ってんだ?と思ったが、
アイツの幻想を壊してやろうと”付き合う”ことになった

親の愛情を注がれ、何不自由なく幸せに育ったアイツを見て、イライラしたこともあり
八つ当たりをしたこともある
それでも、アイツは俺を避けず、酷い事を云ってる俺に「好きです」と囁く

いつの間にか、俺の世界は輝きを増し、アイツと・・律と一緒にいることが嬉しくなり
もう離れられないと思った

たぶん、これが俺の『初恋』

だが、互いの感違いから離れ離れになり、俺は律を探したが『織田律』は見つからず
突然俺の前から姿を消した
まるで・・・最初から居なかったかのように・・・



再会間もない頃はすぐに気付かなかった
ただ、小野寺を見ていると何か沸々と湧き上がる思いが俺を掻きたてる

『学生の頃とか、図書館の本全冊読むとか、フツーにしてたんで』

一瞬心臓が止まるかと思った・・・いや・・止まってたと思う
10年間、俺の記憶から消えなかった
唯一、俺の心を掴んだアイツをもう一度「好き」になった
同時に、もう二度と俺の前から消えないよう、離れないようにと嫌がるアイツの腕を掴む

学生の頃、プライドが邪魔して言えなかった言葉
アイツにちゃんと伝えられなかった言葉を、
今度は失敗しないように、逃がさないようにと
何度も何度も小野寺に伝える

「好きだ」
「小野寺、好きだ」

アイツは俺に「好き」とは言わないが、顔を見れば分かる
真っ赤な顔して、俺を見上げるエメラルドの瞳は、正に「目は口ほどにモノをいう」といったところか
嫌われてはいない。意識はされている。好意もあるだろう
ただ、素直になれなくて俺に云わないだけ

だけど、律・・・
俺だって不安なんだ
お前が俺以外のヤツと笑顔で話しているのを見ると、無性に不安になる

お願いだ・・律・・・
俺の全てをお前にやる。だからお前の全てを俺にくれ・・・

不安になる気持ちを抑えつけながら、小野寺を抱きしめキスを落せば
今度はお前が触れるだけの優しいキスを俺に返す

これが答えってことでいいんだよな?

俺はアイツの肩に顔を埋め、ぎゅっと優しく抱きしめた

作品名:世界一初恋 高x律 葛藤 作家名:jyoshico