世界一初恋 高x律 最初で最後の恋
小野寺が隣人だと知った翌日から、俺の隠れたストーカー魂に拍車をかけた
彼が部屋から出るタイミングに合わせて、俺も出る
そうすれば、長い時間一緒に通勤ができる
勿論、変に思われないように偶然を装いつつ、時にはコンビニで時間を潰し
朝食を購入をした素振りで、最寄駅まで一緒に行く
鈍いのか、それとも俺に関心がないのか・・・
小野寺は全く俺の行動に疑問を持たず、逢えばニコニコと笑っていた
*
以前よりは前進した関係になったが、まだ中学生程度のお付き合いだ
そろそろ高校生クラスの付き合いをしたいと考えていた
俺は”自宅に招待し夕飯を振舞う”計画を練った
数日前、小野寺との会話の中で、自炊が苦手でほぼ毎日がコンビニ弁当であることが判明し、
俺はこのチャンスを逃さず
「今週金曜日、うちでメシでもどう?」と誘った
小野寺は突然だったせいか遠慮していたが、
「俺、料理が趣味でさぁ。
一緒に食べてくれる人がいると作りがいがあるから」
と云うと、渋々了承の返事がもらえた
その後、金曜日のメニューを何にするか
頭の中でずっと考えていたことは言うまでも無い
*
一度、夕食に誘った後からは、
週末になると頻繁に小野寺が俺の部屋に来ることが多くなった
年齢は俺の方が二つ上の為
「高野さん」と呼ばれ、俺は「小野寺」と呼び捨てが出来る関係になっていた
偶に軽く部屋呑みしたり、小野寺自身も少し俺に心を開いてくれている気がした
今の俺のポジションは『同業者兼隣人』というところか
--- そろそろ次のステップへ進みたい
しかし、このステップアップには難点がある
小野寺が同性愛者に対して、どのように思っているのかを聞く必要がある
もし、毛嫌いするのであれば、『恋人』から降格して『友人』のポジションを狙うしかない
実は小野寺が担当している宇佐見先生は、丸川書店でBLも執筆している
「小野寺は同性愛に対してどう思う?」と尋ねると
一瞬目を見開き固まったが、ポツリと「人それぞれだと思いますよ」と答える
「偏見とかないの?」
「俺は・・・興味はありませんね」
先程までの明るい雰囲気は淀み、小野寺は負のオーラを纏っていた
これ以上、俺に話題を振るな!というような感じが見て取れる
俺は「この間さぁー・・・」と話題を変え、小野寺を少し浮上させたが
結局その日はテンションが低いままお開きとなった
作品名:世界一初恋 高x律 最初で最後の恋 作家名:jyoshico