世界一初恋 高x律 記憶喪失
--- 最近やたらと同じ夢を見る
場所は毎回学校の図書室で、俺は窓際に座り本を読んでいる
風でカーテンがヒラリと舞い、グラウンドからは部活同中の声が聞こえる
穏やかな時間
世界から切り離されたような空間で、俺は本を読む
だが、図書室の扉が開くたびに顔をあげ人物を確認する
まるで誰かを探しているかのように・・・
『先輩』
そう声を掛けられ、振り返った時に目が覚める
*
恐らく記憶を無くす前の”俺の記憶”
今までこんなことは一度も無かったのに不思議だ
そして目が覚めた時、必ず焦燥感に襲われる
そんな時は鎮静剤代わりに小野寺に逢いに行く
平日なら同伴出勤し、休日の場合は仕事を理由に部屋が上がり込む
小野寺が傍にいるだけで安心できた
最近の俺の行動に疑問を持ち始めた小野寺は、
部屋でコーヒーを飲んでいると「高野さん」と話しかけてきた
「あのぉー気のせいだったら別に良いんですが、
何か悩み事でもあるんですか?」
最近の高野さん、ちょっと変ですよね?と不思議そうに見つめる
「あ?」
素っ気なく返事を返すと、小野寺は言葉を続けた
「俺で良ければ、何でも話し聞きますよ
俺が原因だったらすみません・・
でも、何だか高野さん辛そうだったから、俺何かできないかなって思って」
いつも仕事でお世話になってますから・・・と尻つぼみしながら話す
『先輩の気持ちが軽くなればとか思って・・・』
ズキンと頭に衝撃が走る
俺は頭を抱えて「痛い」と呟くと、小野寺はワタワタし「大丈夫ですか?横になりますか?」と
世話を焼き始める
「ちょっと横にならせて」
ソファーに横になろうとした時、「ここじゃ身体痛くなるんで、俺のベット使って下さい」と
腕を引っ張り寝室へと案内した
*
俺は何を忘れているんだ?
とても大事な事を忘れてしまってるんじゃないのか?
薄らと開いた目で天井を見上げながら、寝室の扉が開かれるまで考えていた
作品名:世界一初恋 高x律 記憶喪失 作家名:jyoshico