世界一初恋 高x律 記憶喪失
--- 高野政宗 旧姓 嵯峨政宗
『なんで俺のこと好きなの?』
『は・・話せば長いです。み・・三日位かかります』
『なんでお前そんなに俺のこと好きなの?』
『何でって・・・先輩だから・・・』
誰も居なくなった図書室で、俺の自宅で、何度も身体を繋げて抱き合って、キスして・・
少しずつだが、記憶が戻ってきていた
だが、肝心な部分が思い出せない
どうして俺達は別れたのか・・・・
*
小野寺を懐かしいと思ったのは、過去に付き合っていたからで、
だけど、今目の前にいる小野寺を愛おしいと感じている
酒の席で、あいつは過去の俺との恋愛を”無かったもの”としていた
”臭いものには蓋をしろ”
小野寺を苦しませ悲しませた原因である俺自身、何故別れたのか理解できないでいた
--- それならば、今の俺を好きになってもらえばいい
嵯峨政宗ではなく、高野政宗として俺のことを好きになってもらい
もう一度、やり直せばいい
意を決して、俺は小野寺に告白をした
最初は呆けた表情で、俺の言葉が理解できなかったらしい
だからもう一度、今度は抱きしめながら耳元で囁く
「小野寺が好きだ」
何度も「好きだ」「好きだ」と伝える
「俺と・・・その・・付き合うってことですか?」
ようやく動きだした頭で理解したのか、ポツリと吐く
「ああ。お前と恋人になりたい」
「というか、男同士で付き合って何するんですか?」
俺は小野寺の唇に軽く触れた後、舌を潜り込ませて、ぐるりと口内を撫でまわした
舌を絡めて、歯列をなぞって、口腔を掻き乱す
「こーゆーこと」
チュッと音を立てて額に口づけると、
小野寺はおずおずと俺の背中に手を伸ばし、抱きしめ返した
「・・・小野寺?」
「お・・俺も・・高野さんの事が好きです」
ギュッと顔を俺の胸に押し付け、答える姿を見て「可愛い・・・」と思わず口走ってしまった
「へ?」と涙目で上目使いをされ、俺の理性はぶっ飛んだ
めでたく両想いなんだ。
それならやることはひとつだろ?
小野寺の手を繋ぎながら、俺は寝室へと向かった
*
小野寺と恋人同士になって数カ月が経過した
相変わらず職場では上司と部下として接しているが
自宅に帰ればプライベートの時間を甘く過ごしていた
だから、油断していたんだと思う
作品名:世界一初恋 高x律 記憶喪失 作家名:jyoshico