そら礫
家を辞す時になって、がくぽはキヨテルに尋ねてみた。
「例えば、これだけ似た話があれば、礫を止める方法など伝わってはおらぬのだろうか?」
キヨテルは顎に手を当て、しばし考え込んだ。
「ううん、僕が聞いた話や読んだ書物では、たまたま近くで大きな狸を捕らえた所、以降は止んだというのはありますが…それ以外は大抵いつの間にやら自然と収まったとしかないですねえ」
「そうか…」
「お役に立てずすみません、がくぽさん」
「あ、いや、聞いてみただけだ」
眉尻を下げたキヨテルに慌てて言う。
ただ…とがくぽはこの場所で商いを続けられるだろうかと呟いた知り合いの顔を思い浮かべた。
「近江屋とは父と母が存命の頃から懇意にしている故、どうにか助けになりたいのだがなあ」