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新生勇者戦記 ブレイヴ・サーガ・ディザスター 第56話

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  舞人 「マイトガインッ!!ホント一時はどうなるかと思ったぜ・・・大阪工場長やみんなに感謝しないとな!!ちなみに仮眠はとっていない!!」

  マイトガイン 『おいおい・・・戦闘に響いたらどうするんだ?』  

  舞人 「その辺は勇気で補うさ!!それに、みんなが必死にしている中で寝てなんかいられないからな!!」

  マイトガイン 『舞人・・・・そうだ!ちなみに私はもう、マイトガインではない。グレートマイトガインだっ!!』

  舞人 「グレートマイトガイン・・・!!いい名だぜ!!了解したっ!!」



  一方、エネルギー体勇者達にも変化が見られた。彷徨う勇の意識の中、何度も和や平沢姉妹が去来する。

  勇 (・・・・和・・・唯・・・憂・・・へへへ、情けねぇ・・・俺はやられちまったのか??ゴメンな・・・遊びに行く約束してたのによお・・・。)

  その時。イメージビジョンか夢か・・・勇の意識の中で唯と憂が呼びかける。

  唯 (勇兄ちゃんっっ!!こんなとこで倒れちゃったら、みんな悲しむよ!!)

  憂 (勇兄ちゃん・・・諦めたりしたらダメ!!)

  勇 (唯・・・憂・・・心配かけちまったなぁ・・・お?和・・・。)

  和の後ろ姿のイメージが飛び込む。そして勇の意識のビジョンに振り向いて叫ぶ。

  和 (勇さん!!約束したじゃないですか!!みんなで遊びに行くって・・・・!!!)

  勇 (おお・・・そうだったな・・・俺、約束してたんだ・・・)

  和 (勇さん・・・・もう一度立ち上がって!!そして勝って!!またあの日常を取り戻して!!!それに、私は勇さんが・・・!!!)

  勇 (オーライッ・・・言わなくても気持ちは同じだぁ・・・わかってるってぇ・・・)

  エクスカイザー (勇!!もう一度立ち上がるぞッッ!!!)

  その瞬間、勇の意識がキングエクスカイザーに再び戻った。遠方でヘルトルーパー部隊を蹂躙するヴィラーダロボが霞む目に映る。

  キングエクスカイザー 『へへへ・・・眠っちまってたな・・・サンキュー、唯、憂・・・そして和ちゃん・・・俺はもう一度立ち上がるぜっっ!!!』

キングエクスカイザーは、震える身体をもう一度立ち上がらせた。緑の眼光が光り続ける。

  エクスカイザー (意識が戻ったみたいだな!!勇!!さあ、カイザージェットを召喚するぞ!!!天に向かって叫ぶんだっ!!!)

  キングエクスカイザー 『オーライッ・・・・カイザージェエエエエエットッッ!!!』

  ファイアージェットを呼ぶ勇士朗に似たアクセントでカイザージェットの名を叫んだ。放たれた光の先から、蒼いインパクトのあるジェット機が飛来する。それは真っ直ぐキングエクスカイザーを目指して飛んでくる。

  一定の距離まで進むと、カイザージェットが機体の各パーツを分離させていく。キングエクスカイザーはタイミングを合わせ、両肩と両足、両腕のアーマーをパージさせた。その部分へカイザージェットの各パーツが稲妻のようなエネルギーを放ちながら次々と合体していく。

  背部に機首が合体すると、破壊された胸からエネルギーが発光し、攻撃的な獅子の顔が現れた。頭部に紅いエネルギーが奔り、顔が新たに一新される。そして新たな力の名が叫ばれた。

  グレートエクスカイザー 『超越巨大合体っ・・・・グレートエクスカイザーッッ!!!!』



  それよりも数時間余り前――



  斃れたファイバードの許へ、澪を乗せたグレンラガンが被災地を駆け抜けて駆けつける。間近で実際に見るファイバードのその傷は見るからに痛々しい。

  聡 「つ、ついたぜ・・・澪姉ちゃん!!こ・・・これがファイバード??!ヒドイやられ様じゃんっっ!!!」

  グレンラガン 『なんて傷だっ・・・だが、俺にはヒーリングのような技は無いっ。どうする事もできんぞ??!』

  澪 「勇士朗君、待っててね・・・聡っ、胸の辺りに降ろしてっ!!!」

  聡 「お、おう!」

  グレンラガンはファイバードの胸元に澪を降ろす。澪がファイバードの胸、すなわち勇士朗が直に融合している所に腰をかけた。既に真っ二つにされて激しく損傷している。

  そして澪は、エリザベスを構える。

  眼光が消えたファイバードの表情に目線を伸ばしながら、澪は憂いを混ぜつつ言った。

  澪 「こんなことしても・・・どうにもならないかもしれない・・・けど、また起きてくれるって信じたい・・・だから聞いて・・・。」

       ♪ ふでぺん〜ボールペン〜 澪 Ver.(ベース演奏)

  澪は歌い始める。響く楽器はエリザベスの音色と澪の歌唱。曲のペースもゆっくりとしたペースだった。聡も久しぶりに聴く澪の歌に釘付けとなる。グレンラガンも初めて聞く現代の歌に聴き入る。

  グレンラガン 『これが、今の音楽なのか?!!てか、歌上手いぜ!!!』

  澪は言の葉を歌に変換し、意識の無いファイバードに吹きかける。  

  確かにこれだけで復活するとはとても思えない程、ファイバードは致命傷を負っていた。

  だが、何もしないよりは・・・・澪は以前にもあった歌の奇跡を信じて歌い続ける。澪の命の声を何度も・・・。



  現在――――



  それからメロディーと時間が流れていく。澪は何度も持てる軽音部の歌を歌った。だが、一向にファイバードの意識は戻らなかった。刹那さと絶望に絶えかねた澪は、ついに投げ出してしまう。

  澪 「っ・・・・だめだっ!!!何度歌っても目覚めてくれないっっ!!!」

  聡 「澪姉ちゃん!!諦めちゃダメだっ!!!」

  投げ出してしまった澪に立ち会う聡が叫ぶ。グレンラガンも共に勇気付けようとする。

  グレンラガン 『そうだっっ、最後まで想いを貫きとおおおせええええ!!!』

  前回は意識があったから復活できた。だが、今回は意識が無い。澪の頭の中はこれ以上どうしていいかわからなかった。そして立ち上がった澪は、ファイバードの顔の方へと向かい、グレンラガンの叫んだ言葉を呟く。

  澪 「・・・・・最後まで貫く・・・。」

  澪はファイバードの顔の上にまたがった。聡は少しファイバードが羨ましく思えてしまう。何故か相棒に心を見透かされた。

  聡 (・・・・あれって・・・鼻の辺りに澪姉ちゃんがいる感じなんだよな・・・なんか羨ましいな・・・・ごくん・・・。)

  グレンラガン 『今はそんな事想像している空気ではないだろう!!!』

  聡 「ヴぇ??!!」

  澪は涙目で投げかける。もはやこれが最後の賭けだ。

  澪 「まだ・・・勇士朗君のコト必要としてくれてる人達が一杯いる・・・それに、まだ勇士朗君の話を聞いてない・・・だからお願い・・・・もう一度立ち上がって・・・・!!!」

  澪はファイバードのマスクの上に顔を近づけてキスをした。同時に夜明けの太陽が昇る。輝く朝日が混沌の世界を照らした。

  そして、そのジャスト・タイミングでファイバードに眼光が灯る。まさにミラクルだ。

    ヴィイインッ・・・