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世界一初恋 高x律 出会えた奇跡

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自意識過剰ではないが、多分小野寺は俺を意識している
それは、異性を意識するのと同じように。

手が触れれば顔を赤く染め
近づくと上目使いで微笑む

互いの部屋を行き来する仲になり、一緒に過ごす時間も増えてきた
本が好きということもあり、会話をするりも読書をしている時間の方が多い
それでも一緒に過ごせる時間が永遠に続けばいいのにと考える

ささやかな望みだった
時間が経てば小野寺は俺を好きになって、受け入れてくれると思っていた



朝、出勤する為に玄関へ向かう
すると、廊下で何やら会話が聞こえてきた

「律っちゃん!私今日から一緒に住むから!」

「なっ・・何言ってんの!?杏ちゃん」

「だって・・律っちゃん全然連絡くれないし、わたし・・・寂しかった」

「・・・っ!」

「ねぇー律っちゃん。いいでしょ?」

ガチャッと玄関の扉を開くと、そこには隣人の小野寺とふわふわと可愛らしい女性が居た
チラリと小野寺の顔を伺うと、「しまった!」という表情で俺を見る

「『彼女』?」
朝の挨拶も交わす余裕もなく、つい聞いてしまった

「い・・いえ。違います」
俺は女性の方を見ると、ぷーと頬を膨らませ「酷いよ。律っちゃん!」と言った後
俺の方に向き直し、ペコリとお辞儀する

「律っちゃんがお世話になっております。
 私、婚約者の小日向杏です。」

--- 婚約者?

「ちょっ・・杏ちゃん。いい加減にしてよ。
 俺婚約の件は昔断ったよね?って言うか近所迷惑だから部屋に入ろう・・」

すみません。高野さん。お騒がせしました・・と部屋の中に入ろうとしたところで
我に返り、小野寺の腕を掴んだ

「え?高野さん?」
突然腕を掴まれて、困惑している小野寺を無視して話す

「婚約してたの?」

「・・親同士が勝手に決めたんですよ。俺は断ってますけど。うまく伝わってないみたいで」

「・・・名前」

「え?」

「小野寺の名前って?」

「あーそう言えば名字しか名乗ってませんでしたよね?
 俺、小野寺律って言います」
そう言って、ポケットから名刺を取り出し渡す
咄嗟に俺も名刺を交換し、受け取った小野寺の名刺を凝視する

「『律』・・・って言うんだ」

「はい。高野さんは『政宗』って言うんですね。強そうな名前ですよね」

じゃぁと言って小野寺は部屋に戻って行った
俺は茫然と廊下に立ったまま、閉じられた扉を見ていた

--- 律

偶然なのか?それとも・・・まさか本人なのか?
名字は『織田』から『小野寺』に変わっている
会社は小野寺出版・・・同業他社か

一旦部屋に戻り、パソコンを起動し『小野寺出版』を検索した