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世界一初恋 高x律 出会えた奇跡

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小野寺出版
業界大手の世襲企業で現在の社長には一人息子がいる

--- 『小野寺律』

小野寺社長は離婚経験がない為、あいつの名字が変わることはない
つまり・・・別人?

だが、引っかかる点がある
『織田律』が消息不明になった後、
一年のクラス生徒に尋ねても「そんな奴いない」と言われたことがある

偽名?
本当の名前は『小野寺律』でなんかしらの事情で『織田律』と名乗ってた?



結局その日は一日中グルグルと小野寺&織田のことを考えていて仕事に身が入らず
さっさと切り上げて帰宅をした

もし同一人物だとすれば、俺は二度あいつに恋をしたことになる
例え違っても、俺は今のあいつが好きだから諦めたくはない

隣部屋の鍵が開く音
開いた後、会話が聞こえてこないということは、婚約者は一旦自宅へ戻ったのだろう

ソファーから立ちあがり、隣の家へ向かった



気だるそうに覗かせた顔は、朝のひと悶着のせいだろうか?
「話しがあるんだけど?」
そう言うと、「どうぞ」と言って招き入れた

ラグマットに座り、小野寺の淹れたコーヒーを啜る
「今朝はすみませんでした」
廊下での騒動のことを謝ってきた

「婚約者は帰ったの?」

「はい」

「可愛い女性だね」

「・・・幼馴染なんです。お互い一人っ子同士で。親同士が勝手に決めて俺の意見なんて無視なんですよ」
苦笑いしながら話す

「ふーん」
もう一口コーヒーを含み、今日一日俺を悩ましていた”真実”を聞き出そうと話かけた

「ところでさ。『織田律』って名前に心あたりない?」
急に話しが変わってキョトンとしていた表情は、途端に顔面蒼白になりうろたえ始めた

「『律』って名前聞いてまさかとは思ったんだけどさ」

「あ・・・あのぉ・・・」

「俺、高校三年の時、親が離婚して名字変わってるんだわ。旧姓『嵯峨政宗』」

その瞬間、小野寺は震えだし俺から距離を取ろうと後づさりする
俺は少しずつ近づき、小野寺を壁へと追いやる
もう逃げ場はない

「なぁー律。お前なんでいなくなったの?」
両腕で頭を抱え、ガクガクと震えている小野寺を見降ろしながら尋ねるが、何も答えない

「俺、探したんだけど?」
小野寺の両腕を掴み壁に押し付ける

「・・・・・っ」
それでも俯いたまま何も言わない小野寺に痺れを切らした俺は

「なんか言えよ!」
声を荒げて腕を掴んだまま、横に押し倒す
馬乗りになり、それでも両手は拘束したまま、小野寺の顔を伺う

「・・・っ!痛いです・・高野さん・・離して・・ください」

「却下」
無駄な抵抗をする小野寺を一瞥し、更に力を込める

「逃げるな・・・律」
そう言うと、小野寺はハッ!と泣きそうな顔を歪め俺を見た後、すぐさま目を逸らす

「過去にこだわっているいる訳じゃない。
 過去は過去で別にいいんだ」
俺は拘束していた手首を解き、そっと小野寺に覆いかぶさった
サラサラと揺れる髪に指を絡ませ、そっと頭を包み込む

「俺は小野寺が好きだ」
耳元で甘く囁く
何度も何度も狂ったように「好きだ」と繰り返す

小野寺は泣きじゃくりながら、俺の背中に手を廻しぎゅっ上着を掴んだ
「・・・先輩・・・嵯峨先輩・・・・」
子供のように嗚咽を漏らしながら泣き、俺にしがみつく

「律」
顔を上げ、小野寺に口づける
啄ばむように離れては触れ、その度に名前を呼ぶ
熱い吐息を洩らしながら、舌を潜り込ませ口内に侵入する
上顎を舐め、歯列をなぞり、味わうように舌を絡ませ強く吸う

--- 二度と逢えないと思っていた『恋人』に出会えた奇跡