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世界一初恋 高x律 パラレル

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【SIDE 律】

追求されたその日から、高野さんが俺に距離を置くようになった
仕事に必要なこと以外は俺と話さないようにしているのが分かる
俺としては仕事に集中できるから良いと思っていたのだが・・・

今までが強引だったせいか、淋しいと感じていることに気付く
仕事もいつも以上に振られ、帰宅するのも深夜になり、修羅場ではないのにグッタリしてしまう

それでも家に帰れば「おかえり」と彼が迎えてくれて、泣きそうになる
そんな俺の心情を知ってるのか、ソファーに座ると俺の肩をそっと抱きしめ「大丈夫?」と気遣ってくれる

俺の方が年上なのに、彼に甘えてしまう
「ごめん。ありがとう」
同じ人物なのに、どうしてこうも違うのだろう
今の高野さんには近寄れない
でも、目の前にいる高野君は俺を大事にしてくれる

まるで宝物を扱うように・・・

だから分からなくなる
高野君と高野さん
どっちが俺の知ってる高野政宗なんだろう・・・



時間が経つのは早く、あっと言う間にまた修羅場を迎えた
流石に今回は辛い・・過去最大級の疲労と精神的ダメージが大きい

デット入稿が終わり、フラフラの足元で帰宅した俺は、玄関で意識が途切れた



遠くで声が聞こえる
「ごめんな。律」
頭を撫でる手は優しくて、暖かくて、ほっとする

俺は意識が浮上して目をうっすらと開けると高野君がベットに腰かけたまま俺の頭を撫でていた
「玄関で倒れたんだ」そうポツリと呟く

俺はただ天井を見つめながら何も返事せず、彼の撫でる手を心地いいいと感じていた
「水持ってくる」
そう言って立ち上がろうとした彼の腕を咄嗟に掴んでしまった
「どうしたの?」彼は不思議そうに俺の顔を覗き込む
「ごめん。もう少し側にいて」掠れた声でお願いすると、「ん」と答えてまた頭を撫でる

理由を聞かず、ただずっと俺が眠るまで彼は側にいてくれた



夢を見た
それは学生の頃、まだ嵯峨先輩と付き合っていた頃
嵯峨先輩は寡黙で、クールで、カッコ良くて・・・
だから俺は例え先輩が遊びでも側に居られれば構わないと思っていた
なのに・・・欲が出たんだ
俺を好きになって欲しいって
俺だけを見てほしくて、俺だけを愛してほしくて・・・先輩も俺と同じ気持ちでいてほしいって思ったんだ

「先輩・・嵯峨先輩・・・」
無意識に口にした言葉を高野君に聞かれていたなんて、俺は気付かなかった