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世界一初恋 高x律 パラレル

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【SIDE 高野】

小野寺と衝突した日以来、俺は無意識に小野寺を避けるようになった
俺が一歩近づくとあいつは一歩下がる
だから、距離を置いてあいつが俺をどう思っているのか確認したかったんだ

それなのに、あいつは全然気にも留めないような素振りでムカつく
誰があいつの家に居るのかう知らないが、なるべく帰さないように仕事量を増やしていく
だけどあいつは弱音を吐かず、食らいついてくる

日に日にあいつの顔色が悪くなり、弱っているのが見てわかる
辛いなら・・キツイなら俺に文句でも言えばいいのに、あいつは何も言わない
俺も意地になって、あいつにキツク当たってしまうけど、本当は大事にしたいのに・・・・
どうしてうまくいかないんだろう

修羅場突入後、入稿も終わり帰ろうとすると小野寺がフラフラになりながら部屋を出るところだった
「小野寺!」
声を掛けても聞こえてないのかスタスタと歩いて行く
チッ!舌うちして追いかけようとしたら、丁度内線が鳴って話している間に帰ってしまった



イライラしながら家に帰ると彼がいて、顔をみた瞬間反射的に床に押し倒した
「・・・・っ!ちょっと高野さん!」
掻きむしるように抱きしめて「律」「律」と熱にうなされたように名前を呼ぶ

彼は何も言わず、黙っている
「なんで何も言わないの?」
突然こんなことをされて何も言わないとかないだろう?

「高野さん、辛そうだから」そう言ってそっと親指で俺の目尻を拭く
「気付いてます?泣いてますよ」そう言われて指を頬にあてるとツーと無意識に流れている涙を捕らえた
「クソッ!」そう捨て台詞を吐いて、起き上がる

「何があったか知りませんが、あなたの”律”は俺ではありません」

「・・・知ってたのか?」

「ええ。なんとなくですけど。」そう苦笑いしながら答える

「どういう経緯で俺がここにいるのかは未だ分かりません。
 それに、どうして俺が”嵯峨先輩”の前にいるのかも理解できません。
 だけど、これだけは分かります。あなたは俺の”嵯峨先輩”ではありません」

「なんだよそれ」

「カンです。直感って言うか・・・違うんです。それだけは分かります」

「ふーん」

「高野さんだって分かってるハズですよ。俺ともう一人の”小野寺律”は違う人物です」
同じだけど違うんですよ。そう言ってクスッと笑う

「だから。今度こそ繋いだ手を離さないでください」

「ああ。そうだな。もう間違えないよ」

そう、俺はもう間違わない
同じ轍は踏まない
二度と離さないって決めたんだ
相手が誰だろうと、あいつを奪って俺だけのものにするんだ

--- あいつ以外愛せないんだから・・・