世界一初恋 高x律 パラレル
【SIDE 高野】
寝室のベットで眠っていたハズのミニ小野寺は消えていた
俺はそっとベットのシーツを触る
若干ぬくもりが残っている・・・
昨夜は彼にベットを譲り、俺はソファーで横になっていた
もし外出するのであれば、必ずリビングを通る
確かに修羅場の後で爆睡していたのだが、玄関の鍵も掛ったままだった
「消えた?」
まぁー常識では考えられない状況だったのは事実だ
だけど、確かに彼はここに居た
ブルッと身震いがし、自分で自分を抱きしめる格好で茫然としていた
まるで、10年前にあいつが俺の前から消えた感覚と似ている
ガタガタとまだ震える身体、血の気を失った俺は立っていることが困難になり
ズルズルと床に座り込んだ
*
暫くして落ち着いた俺は隣部屋へ向かった
--- あいつまで消えてないよな?
若干震える指で部屋のチャイムを鳴らし、小野寺が出てくるのを待つ
何度かしつこく鳴らしていると、ガチャリと扉が開き「近所迷惑だと言ってるでしょうが!」と
いつものあいつが出てきて、ほっとした
不安と安堵が顔に出ていたのだろうか?
小野寺は「どうかしました?」と心配そうに俺を見てくるから「ん。何でもない」と答え
無理矢理扉をこじ開け、あいつの制止を聞かないまま部屋へ入った
*
珍しく部屋が片付いていて、吃驚していると、怪訝そうな顔で「何か文句でも?!」と
ツンツン答える
「いや・・・ちょっと驚いただけ」
「お・・俺だって偶には片付けぐらいしますよ!」と言うわりにはエメラルドの瞳が揺れている
「修羅場明けでお前の部屋が綺麗に片付いてるなんて・・・今日は槍でも降るかもな」
折角洗濯日和なのに・・・とチラリとみると「うるさいですね!とっとと出て行ってください!」と
突っかかってくる
「昔は素直だったのに、どうしてそんなにツンツンしてるの?」
「全部あんたのせいだ!」
「あっそ」
くしゃりとサラサラしている髪を軽く撫でれば、よく知る感触で安心する
指から伝わる小野寺の体温が心地い
--- ちゃんと俺の側にいろよ?律
作品名:世界一初恋 高x律 パラレル 作家名:jyoshico