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世界一初恋 高x律 パラレル

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【SIDE 高野】

小野寺がダッシュで部屋から出て行った
「なんだよ。もっとゆっくりしてけばいいのに」
タバコに火を点けふぅーと煙を吐くと、背後に人の気配がしたので振り返る

「・・・・・っ」
今朝消えたと思った小野寺が立っていた

「すみません。俺も訳分かんないんですけど・・・」
キョロキョロしながら「お邪魔してます・・・」と尻つぼみになりながら答えた

「いや。別に構わないよ」
タバコを消して、俺の隣に座れとソファーをポンポン叩く
ソロリと近づき大人しく座る小野寺を見て、素直だな・・・と思う

二つのマグカップを見て「来客中ですか?」と聞いてきた
「いや。もう帰ったよ」
数分前まで大人のお前が居たなんて言えず、マグを片付け新しいコーヒーを淹れて
彼に渡す

「あのさ。なんで留学したの?」

突然の質問に「?」を浮かべてポカンとしている
「なんで?」返事を催促すると、マグカップを両手で包みながらポツリポツリと話し始める

「・・・ワケあって、学校に行けなくなったんです」
「ワケって?」
「・・・すごく憧れていた人がいて」
「うん」
「近づいたと思ったら、俺遊ばれていたみたいで・・」
「・・・・・」
「もうパニックになって、学校に行けなくなって」
「・・・・・」
「そんな俺を見かねて両親が留学を進めたんです」
「ふーん」

天井を見上げて考える
以前、再会間もない小野寺が話していたことで、俺が鼻で笑ったとかなんとか・・・
記憶ないんだけどな・・

「今でも好き?」
この頃の小野寺が俺に対してどう思っているか知りたいと思った
グッと喉を鳴らし、渋い表情で唇をかみしめ俯いて黙っている

「・・・嫌い?」
顔を覗き込みながら再度聞くと「わ・・・れ・・な・・です」と聞きとれない小さな声で呟く
「聞こえない」
もう一度言って?と頭をくしゃりと撫でると
「・・忘れたいのに・・忘れられないんです・・」
ポロポロと大きな瞳から涙を流して両手を握りしめている

「逢いたい?」
そう言うと、フルフルと頭を左右に振って答える

「逢いたくないの?」
コクリと頷く

「何で?」

「俺・・もう先輩のこと忘れるって決めたんです・・だから逢いたくありません」
袖口で目を擦り涙を拭く

「頑固だな」
一度言い出したら頑なになるところは、今も昔も変わらないが・・・・

「昔のように素直になればいいのに」
ポツリと呟いた台詞を聞いていた小野寺は「え?」と顔を上げ俺を見る

「・・何でもない」
くしゃくしゃと頭を撫でまわすと「うわっ!」と声をあげて手櫛で髪を整える

「高野さん?」

「何?」

「今日も泊って良いですか?」

「どーぞ」

じゃ俺、今日はソファーで寝ます!と立ち上がりながら言う
俺は少し考えた後、「いや。俺がソファーで寝る」と言うと
「ダメです!ここは高野さんの部屋なんだから!俺がソファーで寝ます!」
と譲らない

まぁー言い出すと絶対譲らないんだよな。こいつは。
それなら・・・・

「俺と一緒にベットで寝るか、俺がソファーで寝るか、どちらか選べ」
「へ?何ですかその二択は!間違ってますよ!」とキャンキャン吠える
「五秒以内に答えろ」
「・・・・っ!なんて横暴なんだ!」
「いーち」
「・・・・・」
「にー」
「さーん」
「よーん」
「・・・・っ!」
「ご!タイムオーバーだ」
そう言って、俺は小野寺の腕を掴み寝室へ連れ込みベットへ放り投げる

「なっ・・何するんですか!俺イヤですよ!」
「家主の言うこと聞け」
ブワーと顔を真っ赤にしてワナワナ震えながら睨んでくる

睨んだって可愛いだけなのにな
クスっと笑って「何もしないよ。ただ寝るだけ」と言うと
更に真っ赤になってアワアワと口をパクパクさせる

「それとも期待した?」
「そ・・そんなわけないです!!」
「ご期待に添えましょうか?」
「結構です!!!」

背を向け丸くなってグッっと布団を頭まで被ってモゾモゾしている
俺はベットに腰かけたまま、小さく盛り上がった固まりをポンポンと叩いて
「おやすみ」と声を掛けた

暫くするとスースーと寝息が聞こえてきて、そっと顔を覗き込むと
幼い顔でスヤスヤ眠っている

「俺はお前に逢いたかったけどな・・・」
ポツリと呟いた言葉は静かな寝室に響いた