二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

世界一初恋 高x律 パラレル

INDEX|8ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 

【SIDE 律】

奇妙な生活は続いていた
仕事が終わって家に帰ると「おかえり」と彼が出迎えてくれる

週末彼に言われた食材を冷蔵庫に入れておくと
ご丁寧に一人分の食事が準備がされており、「食べて」と催促する

「一緒に食べないの?」
そう聞くと「食べてきたから」と苦笑いする

どうやら自室で薬を服用せずに眠ると俺の部屋に来ているらしい

そして更に不思議なのは、一度も高野さん本人と彼が遭遇していないということ
ドッペルゲンガーじゃないけど、俺と高野さんが一緒の時は彼は現れない

彼が部屋にいる時は穏やかな時間が流れ
とてもじゃないけど荒れていた頃の高野さんとは思えないほど素直で
可愛いと思う

彼は俺の事を詮索することはしない
だから、俺も何も聞かない

ただ二人、この部屋の中でゆっくりと時間が進む



恒例の修羅場突入となり、今回も作家が原稿を手放さないため
作家の家と職場の往復が続く

高野さんの怒涛が響き、印刷所からの催促に胃がキリキリする
毎度のことながら、寿命が縮む思いだ

そうだ・・今日から入稿まで家に戻れないから、彼が一人になってしまう
メモでも残してくれば良かったのだけど、そんな余裕なくて忘れてた

時間を確認すると、23時を丁度廻った頃だった
いつもならこの時間に部屋にいると思うんだけど・・・
一応、電話してみるか

俺は携帯を持って、廊下で自宅に電話する
何度かコール音が鳴った後、ピーと留守電が動いた

「俺だけど、そこにいる?」
そう言うとガチャッと音が鳴って『いる』と一言返事があった

「ごめん。今日から会社に泊りだから、明後日には帰れると思う」
そう伝えると『うん。分かった』と短く返事をする

「部屋にいていいから。好きに使って」
そう言うと、クスッと笑い声が聞こえ『ありがとう。そうする』と答え電話を切った

ふぅーと息を吐き振り返ると、そこには腕組みした高野さんが睨みつけていた
「誰?」
ビクッとした俺を視線で人が殺せるぐらいの殺気を纏って近づいてくる
「今の電話、誰と話してた?」
聞かれてた!?俺は距離を取ろうと後ずさりすると、ガシッと頭を鷲掴みにされた
「・・・っ!痛っ」
「浮気?」
グイッと頭を仰け反らせ俺の顔を見つめる
「ハァ?」
「相手だれ?婚約者?」
「高野さんに関係ないでしょ!俺まだ仕事残ってますから失礼し・・」
と言いかけたところで高野さんに唇を塞がれた

「んっ・・・」
噛みつくようなキス
口腔内に入ってきた舌に歯列をなぞられると自分の身体から力が抜けていく
自力で立てなくなった俺を片腕で支えながら執拗に口づける

息が出来なくなり、高野さんの胸を叩き、やっと唇が離れ新鮮な空気を取り入れる

「何するんですか!」
真っ赤な顔で俺は高野さんを睨みつける
目に映った高野さんは、まるで”高野君”のような淋しそうな表情だった

トンッと高野さんを押して、その場から俺は逃げてしまった
だって・・・あんな表情の高野さんを見ていられないから・・・