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森沢みなぎ
森沢みなぎ
novelistID. 41186
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If ~組織の少年~

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「そんなのあってどうするんだ? 俺は弁解なんてできないような事をしてきたんだ。いまさら、弁解なんかしたって何も変わらない」
 確かにその通りだ。フェイトはクロノから見せてもらった資料でこの少年が犯してきた事件を一通り知っている。そこには殺人という重罪も含まれていた。
 それはどう弁解しても仕方がない。
 フェイトは自分のデバイス、待機状態のバルディッシュを手にする。
《set up》
 フェイト包む光。その光が消えるとフェイトは制服姿着た学生ではなく、バリアジャケットを身に纏った管理局員になっていた。
 そしてその手にある杖(バルディッシュ)をアレルに突きつける。
「それなら私は貴方を拘束します」
「ああ、出来るもんならやってみろ」


 シルアは前に一人、後に二人という状況で立っている。これは絶望的な状況であるが、シルアには切り抜けられる自信がある。
『ヨル、お前は結界を破る準備をしとけ』
 ヨルは大きく目を見開きシルアを見る。
『何言ってるんですか!! 三対一で勝てるわけないでしょ』
『いいから言う通りにしろ。ある程度相手をしたらお前が結界を破って逃げるんだよ。俺はそれまでの時間稼ぎだ』
 ヨルは納得がいかなそうな顔をしたが無言で頷いた。屋上から空に向かって、高くジャンプすると空を飛んで行く。
 ポニーテールの少女がそれを追おうとするがシルアが道を阻む。
「おっと、お前達の相手は俺だ。さっさとかかって来い」
 シルアはポケットから黒い腕輪のような物を手頸につける。
「いくぞ、管理局」
《set up》
 シルアに光が纏う。そして光が砕けるように消え、そのシルアのバリアジャケットが姿を現す。
 その姿は一言で言えば、闘技大会で戦っている拳闘士のような格好。両手にはデバイスの本体のグローブ、両足にはゲートル、そして胸には心臓を守るように左胸を重点的に作られたアーマー。
(さて、どうでる。杖を見る限り、三人ともミッド式のセンターカードか? なら、先手必勝)
 シルアは動き出す。まず、目の前のフェイトに向かって走り出す。
 拳を握り、一撃必殺を準備する。
「バルディッシュ!!」
《Haken Form》
 フェイトの持っている杖が鎌型となる。
(接近戦も出来るのか!!)
 バルディッシュはシルアに向かって薙ぎ払われる。鎌の刃は回避行動が遅れたシルアの服を切り裂く。
「アクセルシューター。シュート!!」
 間髪容れずに後ろから放った4つの桃色の魔弾(スフィカ)がシルアに向かってくる。
(回避が間に合わない!!)
《Protect》
 デバイスが張った障壁が魔弾を遮る。しかし、障壁は4つ目の魔弾に耐えきれず砕け、その衝撃がシルアを襲う。
「クソ!!」
 堪らず、その場から空へと飛び上がる。
「響け終焉の笛、ラグナロク!!」
 後から感じる高い魔力に、シルアは振り向き様に右手を前に出す。
 前からは直射型砲撃魔法が向かってきている。
「多重障壁!!」
《Protect》
 合計5枚重ねた障壁は砲撃と激突する。右腕に強い衝撃と痛みが伝わる。
 障壁も一枚、二枚、三枚と次々と破れて行く。
「なんて威力だよ」
 そして四枚目も破れ、五枚目にもヒビが入ってきた。
「レーベ、フィールド展開!!」
《Protect Field》
 シルアの体が青い光に包まれたと同時に五枚目の障壁が破れ、砲撃がシルアの体へ届く。
 空から地上へと落ちて行くシルア。頭の前でクロスした両腕からは痛々しい火傷が出来ている。
「ヤバイな。三人ともかなりのできる」
 地面にゆっくりと足をつける。空に浮遊している三人を見上げながらヨルを行かせた事を今さらながら後悔した。
 フェイトがガードウィング、ポニーテールの少女がセンターガード、ショートカットの少女がフルバック、形の取れた陣形にコンビネーションも完璧、さらにその個々の能力が異常なまでに高いとなれば、完全にシルア一人でどうにかなるレベルを超えている。
「しゃあーねぇ。レーヴェ、魔力変換を使う。サポート頼むぞ」
《OK, Sila.》
 三人が空からゆっくりと降りてくる。
「投降してください。貴方に勝ち目はありません」
「おいおいおい。もう勝った気なのか、テスタロッサ。甘いぜ、俺にだって意地がある。かかって来いよ。俺は負けない」
 フェイトはシルアに向かって駆けだす。
 シルアは拳を握りしめ完全に迎え撃つ態勢を取る。
 振り上げられたバルディッシュがシルアを攻撃圏内に捉える。フェイトは勢いよくバルディッシュを振り下ろす。
 それは完全にシルアの左肩を捕えていた。もう、回避する事は不可能。
 シルアは左腕を上げ、掌でバルディッシュの刃を止める。
「凍結掌」
 そしてシルアの呟くような声と共にバルディッシュの刃が凍る。
「なっ!!」
 それを見たフェイトは信じられないような顔をした。
 フェイトが見る限りでシルアは魔法のプロセスを踏んで魔力を凍結のエネルギーに変えているようには見えなかった。完全にプロセスを無視して掌でバルディッシュの刃を凍らせている。
 これはフェイトも持っているレアスキル『魔力変換資質』だ。しかも、フェイトが今まで見てきた属性の電気や炎熱ではない。
 その二つよりも希少でフェイト自身噂で聞いた事しかなかった属性。
 ――凍結の魔力変換資質。
 シルアは左手で持っていたバルディッシュごとフェイトを左に投げる。
「きゃあ!!」
 フェイトは驚きのあまり受身を取ることを忘れ、地面に叩きつけられる。
「シュート!!」
 再び、桃色の魔弾が放たれる。しかも、今度は10つも魔弾がシルアを取り囲むように陣形を取る。
「凍結結界、初式『凍結陣』」
 シルアの足元から青い魔法陣が展開される。それ以外、シルアは魔弾に耐用する素振りは見られない。
 ついに魔弾はシルアを目掛けて四方八方から襲ってくる。そして魔弾がシルアの魔法陣の中へと入った瞬間、魔弾の全てが氷の塊となり、地面へと落下する。
「これはやっぱり!!」
「なのはちゃん、おっきいの行くで!!」
 今までフェイトとポニーテール少女の後ろにいた少女が叫ぶ。
 書物を左手に、杖の右手に持ち、先程まで大きい魔法を放つ準備をしていたようだ。
「響け終焉の笛、ラグナロク!!」
 同じ魔法だがさっきよりもさらに威力が上がっている。
「凍結双掌!!」
 シルアは両手を前に突き出す。
 その手からは白い煙が立ち込めている。それは熱からくる蒸気ではなく冷気。掌の温度が急激に下がり、空気が融点を迎え水蒸気となったのだ。
《Protect Field》
 シルアの両手と砲撃が激突する。火花が散るが、それも一瞬。直に両手が触った先から砲撃の魔力は凍結され、強大な氷柱となる。
 シルアはそっと右手でその氷柱に触れて呟く。
「砕けろ」
 シルアの一言で氷柱は粉々に砕け、雹へと変える。


 フェイトはその一部始終を見ていた。そして改めてバルディッシュを見る。魔力で作られた刃は完全に凍てついている。
作品名:If ~組織の少年~ 作家名:森沢みなぎ