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けいおん! LOVE!LOVE!LIVE! 〈1〉

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♯2「過去!そして現在!」



さて、俺が軽音部に入って1週間が経った。
今のところ対した活動はしてないし、練習すらしていない。
……んじゃあ何してるのか?
ケーキ食ってる、雑談してる、以上。
……お前らホントに軽音部かって?
ああ。軽音部だよ。うん。
いや、いいじゃん別に。
ほらあれだ。曲を演奏するにはチームワークが必要だろ?だからこれも練習の内だ。
……みたいなことなにかのけいおんの小説で言ってたなあ。

「アンタ、最近帰りが遅いけど何やってんの?」
夕食の席でバカ姉貴こと、日暮雫紅はそう言ってきた。
「ああ、部活入ったから」
肉を口に入れ、米をかきこむ。
するとこいつはなにやらあわてた様子を見せ、
「あんた、もう『あんな事』にはならないわよね?」
箸の動きが止まった。
それと同時に何故かテレビの音が聞こえない。
「……大丈夫だよ。第一軽音部だぜ?どうやったら怪我すんだよ」
「軽音部!?……アンタ、軽音部に入ったの!?」
ああ、まあ。
「アンタ楽器なんか弾けt……弾けたわね」
「ああ、ホントは弾くつもりなんかなかったけどよ」
お茶を口に流し込んだ後、茶碗とお椀を流しへ持っていく。
「……ま、いいけどさ。そういうのはアンタの自由だし。何弾くの?」
「一応ギターを」
「ふ~ん。……ってアンタ、ギター持ってたっけ?」
……あ。

「え、りょうくんもなの?」
何だお前もか。
朝のHR前に平沢と昨日の夜の事(ギターがないっていう話)を話していた。
「こりゃあ軽音部のみんなと相談だな」
「じゃあ今日、言ってみようよ」
そうだな。
丁度のタイミングで担任の教師が教室へはいってきた。

放課後、軽音部の部活タイム……なのだがやはりお菓子食べて雑談してだった。
「そういえば平沢さん、もうギターは買った?」
黒髪の秋山澪が平沢にギターの事を言って来た。なんだ持ってないの知ってたのか。
「唯でいいよ」
待て待て、先にギターの事を答えてやれよ。
秋山はしばらく悩んでいたがやがて小さな声で唯と呼んだ。
その様子に平沢はとても心に打たれたらしい。まあ仕方ない。俺もきたぐらいだから。
「日暮くんも、ギターは買ったの?」
金髪こと、琴吹紬も俺に聞いてきた。答えはNO。
「おい、これじゃあなんにも始まらないぞ」
秋山の言うとおりだ。一体何の為に軽音部に入ったんだ。
「よっしゃあ!じゃあ次の休みにみんなで買いに行こうぜ!」
カチューシャの田井中律(部長)が叫んだ。
と言う訳で次の休みは俺と平沢のギター探しの旅と言う訳になった。

「と言う事で金くれ」
「何円?」
さて何円なのだろう。
五千……なわけないか。
やっぱ八万ぐらいなのだろうか。
いや……下手すると百万単位?
「そんな訳ないでしょうに。ま、八万ぐらいならいいわよ」
「サンキュー♪、流石姉貴だ」
こういうときだけはホント役に立つ。
「よし、ご褒美に今日はハンバーグだ」
「わーい!ハンバーグ大好き~!」
やれやれ、実は俺ら生まれた順番逆なんじゃね?
そんな事を思いながら俺はキッチンで夕飯の支度を始める。
……え?飯はお前が作るのか?
そうだよ。だって親いないし。姉貴は作れないし。
なんで親がいないのか?……ま、色々とな。




……知りたい?




「お母さんね、お父さんと離婚するの」
あの時から歯車が狂い始めたんだと思う。そうだ、絶対に。
それを言ったお袋はその2日後、俺と姉貴を連れて家を出た。親父を残して。
その時俺は小学2年生であまり今の状況が理解できなかった。
姉貴は既に中1だったため、その状況は大変理解していた。
だから……毎晩毎晩俺が寝た後にお袋と姉貴は喧嘩してたんだと思う。

俺は前の親父は好きだった。優しかったし、お袋が惚れて結婚したのもよくわかる。
姉貴に聞くと親父とお袋は高校生の時に出会い、そのまま二人とも高校を中退し、結婚して俺たちを生んだらしい。
親の反対を聞かずに結婚したため、二人の両親とはほぼ絶縁状態だったと言う。
どうりで毎年うちだけ『おじいちゃん』と『おばあちゃん』の家には行かないわけだ。

そして母親は夜の商売を始めた。水商売って奴だ。
まあそれなり家は裕福になっていったし、俺も状況は理解していなかった為、別に気にしなかった。
そもそも俺は3人で少しの間、親父の元を離れて生活しているだけなのだと思っていた。

俺が4年生の時、お袋は一人の男を連れて家に帰ってきた。
そしてお袋はこう言った。
「この人がお父さんよ」
……そこで俺は今まで立たされていた状況にようやく理解できた。
『俺の両親はあの時離婚したのだと』
そう考えるとなんか……自分がアホみたいに思えてきた。

なんであの時俺はあの優しかった親父の元に残らなかったのか。
なんであの時俺はこんな糞女にひょこひょこついて行ったのか。

バカだよ。自分の運命を呪ったよ。

だがそんな事も時間が経つと忘れていった。いや、忘れさせられたと言うか。

自分の欲しいものは何でも買ってくれた。
自分の食べたいものは何でも食べさせてくれた。
自分の行きたいところに好きなだけ、好きな時に連れて行ってくれた。
なんでも自由だった。口に出せばなんでも手元に置かれていた。
嬉しかった。楽しかった。ああ。ホントに。
やがて俺はあの優しい親父を忘れ、この『新しい』親父を本当の父親のように慕った。

6年の時、『新しい』親父は俺にギターを教えてくれた。この人の趣味だった。
教え方も丁寧だったし、すぐに上手くなった。

――遼祐、お前本当にギターうまくなったな。才能があるんじゃないか?
――父さんの教え方がうまいからだよ。
――いや、十分お父さんを超えているよ。ホントにお前は才能があるぞ。
――そうかなあ……。

そして、俺が中2になって、いつものように学校から帰って、寄り道して、家に帰った。
今日の晩飯はなんだろう。今日は何のゲームをしよう。今日は何のアニメのDVDを見よう。
それがいつも考えている事だった。そして、その期待を胸に膨らませ、玄関の扉を開けた。

リビングへ行くと、姉貴が座り込んでいた。
――何やってんだ姉貴?それより父さんは?
――……いないよ。
いない?意味が分かんねえ事言うなよ。

『新しい』親父の部屋の扉を開けると、中はからっぽだった。

おかしい、いつもならここでパソコンに向かってパチパチやってるのに。そのパソコンすらない。っていうか本当に何もない。
お袋の部屋を開けると、そこも何もない真っ白な空間があるだけだった。
リビングへ戻り、姉貴に抗議する。
――どういうことだよ!?二人ともどこへ行ったんだよ!?
――どこにも行ってないよ。
――ふざけてんじゃねえぞッ!?真面目に答えろ!!
――いなかったんだよ!!元々!!あたしに親なんか!!
姉貴は胸ぐらを掴んできた俺に怒鳴り返してきた。
……ふざけんな。いただろ。今日の朝。姉貴だって見たじゃねえか。いつもみたいにいってらっしゃいって手振ってくれたあの二人を。
――いないよ。あの時から親なんかいなかったんだよ。
――……あの時?
――父さんと母さん(あいつ)が離婚したときから、あたしらに親なんかいなかったんだよッ!!