二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

SAO二次元創作【魔女と呼ばれた処刑者】1-1

INDEX|3ページ/7ページ|

次のページ前のページ
 

でなければこの時流した涙が、何だったのか…わたしには説明することが出来なくなる。

それから立ち直るのに1分も必要なかった。立ち上がったわたしはまずボス狼からドロップしたものを確認する…それは2つの装備品だった【ボア・ファング】というダガーと【ボア・ウルフウェア】という防具であり、わたしは早速装備する…私のインナーウェアの上に、先程の狼と同じコバルトブルーのふかふかとした毛皮のポンチョが現れ、毛布に包まったかのような暖かさがわたしの心を慰める。

更にボア・ファングをオブジェクト化させると、片手に刃の無いダガーが現れた…鋭く尖る先端を見つめ、パラメーターを表示するなり私は驚愕した、攻撃力は殆ど無いのだ。

「屑武器ね…こんな性能じゃ売ることもできなそう…」

私はストレージ右下のゴミ箱へ持っていこうとし、其処で踏みとどまった…何故ならこの武器は先程の狼の固有ドロップであり、もしかしたらダガーを集めている収集家がいるかも分からない…なのでダガーをストレージに止め、個人商品として掲載して置けば欲しがる人間が現れるかもしれない…等と考え、もう一度パラメーターを確認する…そこで私はもう一度驚いた…このダガーは、攻撃力は一桁しかない…しかしこのダガーには防御力と俊敏値に少し異常な数値と、装備者への不可効果に武器防御スキル成長率中と書かれていたのだ。


「ディフェンス・ソードだとでも言うの?」

ディフェンス・ソードとは、刃を潰した剣であり、切れ味は無く殺傷するに至っては一見たいした役にはたたない武器である。だがそれは、殺傷するという事に至っての事であり、シールドとして用いるのであれば、盾としての役割と同時に敵の剣を破壊するという役割を持っているのだ。つまりディフェンス・ソードとは剣の形をした盾であり、このダガーはその類に違いない。

いつか使うかもしれない…そんな予感がしたわたしはダガーをストレージに留め、近くにある村へと歩きだす…既にフィールドは暗くなっており、スケルトンや怨霊の類なるモンスターがフィールドを闊歩しはじめる…槍が骨を倒すのが苦手なのはどのゲームでも共通である、例え敵のレベルが低いとはいえスケルトンと戦う事は避けるべきだ…そう考え、足早に村へと向かった。


その途中でレイピア片手に猛然な勢いで戦い続ける栗色の長い髪の少女を視界に捉えたが、わたしは大して感心を抱く事無く…ホームとしている村へと急いだ。

村に帰るなり、狼のドロップした装備や毛皮を売り、何度でも受けられる狼の討伐クエストを完了させ、手に入れた狼の肉を簡単な塩漬けの干し肉にした。

この一週間、がむしゃらにレベリングを繰り返していたのが祟ったようである。わたしは宿屋に設けた自室にたどり着くなり、床に倒れて泥のように眠ったのだった。

そして、それはそんな生活を続けて1ヶ月の出来事だった…。1層であるにも関わらずレベル23にまで上げてしまったのだ、迷宮区のある町へと着いたわたしが迷宮区内部に単身で乗り込みただ遮二無二ダンジョン内部のモンスター達を根絶やしにしていたからであるのは間違いない。

わたしはそもそもダンジョン攻略に興味がない…攻略する事によるメリットを感じないのだ。一フロアに一度しか登場しないボスは魅力的だが、その為にパーティーを組む気には為れない…一人で戦うのと比べてとてつもなく少ない経験値を分け合うなどもっての他であるし。そもそもわたしは現実世界での人付き合いが苦手なのだ。女でありながらこんな男の様な喋り方をしているのも含め、他人に気を使いながら生きるというのが実にわたしの性に会わないのである。


そう思いながら、レベルや名前を秘匿し、ボアウルフウェアに取り付けられたフードを目深に被ると、人との関わりを一切拒絶して生きる事を、わたしは己の魂に刻み付けた。…MMORPGでソロという行為は、絶対的限界の付きまとうプレイングである。その上ハイリスクであり一対一ならともかく一対多数に成りやすいエリアや、麻痺毒を持つ敵と戦う場合など…小さなミスで命を落とす可能性が限りなく高いのだ。

ついこの間も、うっかり麻痺毒を持つ敵モンスターから毒を貰ってしまったわたしは無抵抗に殴られ続け、危うく命を落とす所であったのだ。その時はライフゲージが赤になる手前で麻痺が回復したから助かったのだか、そんなラッキーは二度も無いだろうと私は今更ながら思う。

そしてそんなわたしは現在、最前線の町から離れ、始まりの街へとやって来ていた…理由は、わたしがレベル上げに費やしたこの1ヶ月の間に何人が死んだのかを確認する為だ。

1ヶ月前に出たきり来ることの無かった門下をくぐり抜け、自分の名前が刻まれているであろう黒鉄宮の建物の前へやってきた。時刻は昼過ぎで其処には沢山の人が訪れては石碑の前で嗚咽を漏らしていたり、泣き崩れていたりしている。

「………」

人の涙は同情を誘う…わたしは首を横に振り、石碑の前で自分の名前に目を凝らした後、死者を一人ずつ数えていった。

「…二千強…」


その数の多さにその時の私は愕然とした。そんなにも多くの人間がこの短期間で、しかもその内の二千は一週間の時点で死んでいたのだから、当時のわたしには凄まじい衝撃だった。

「なぜ?」

そんなものを見せられたわたしは、そんな言葉を頭の中から反復させながら、情けない事に腰を抜けてしまい黒鉄宮の碑の前で座り込んで、あろう事か気絶してしまったのだ。

気絶した時間は数時間にも及び、この時間の間に…眠っている相手を操ることで、アイテムトレードを行われたり全損デュエルを申し込まれて殺されてしまったりといった被害に合わなかったのは幸運と言えるだろう。

「……ん」

わたしが黒鉄宮の碑の前で目を覚ました時、時刻は既に夕暮れ時だった。

「わたしは…」

寝坊けた眼を擦り、涎を垂らしていないかカーディナルシステムにより渡された手鏡を使い身嗜みを確認する。その直後…私を見つめる視線に気が付いたわたしは鏡の中に小さな女の子が体育座りで視線を投げ掛けて来ている事に気付く。

「!!?」

幽霊か!?等と思考を凝らし…振り返ると、そこに居たのは白いワンピースを着た何でもない小さな女の子だった。美しく長い黒髪に黒くクリクリとした大きな瞳をした九歳前後の女の子の愛くるしさを現している。

「………」

しかし少女は無表情、終始わたしは少女と見つめあうと。頭の中でお腹を空かせているのだろうか…?と考えたわたしは、少女の前にしゃがみこむとトレード画面を表示し、最近の私のお気に入りで99個もストックしていた狼の肉を塩漬けにした干し肉を30個程提供欄に送り込んだ…。しかし少女は無表情のまま、僅かに首を傾げてパチクリと愛らしい瞳を瞬かせるだけだった。

「……」