二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
みとなんこ@紺
みとなんこ@紺
novelistID. 6351
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

we're wasting time!

INDEX|6ページ/7ページ|

次のページ前のページ
 




「……って、ここはそーゆーチョットいい話で終わる所じゃないんですか!?」
「知るか。別に私の所為じゃない」
「いやいやいや、確実にあんたの所為ですって寧ろ巻き込まれてるオレ的に!」
「右」
 言葉通り右の路地へ回り込んだと同時にさっきまでアタマがあった位置で、不吉な音がする。
「次は3番目」
 道を曲がった途端、チュン、と意外に小さい音がして傍らの壁が爆ぜる。あーもーアブねぇ。
「っだー!もう!!いい加減にしてくれっつの!!」
「愚痴る余裕があるならちょっとくらいやり返したらどうだ」
「そーしたいのは山々なんですけどね!ちょっとくらい隠れる場所でもないと止まったら的じゃないですか!あんた錬金術師でしょ。大将みたいにぱーっと壁でも作れないんすか!?」
「立ち止まったら私が的になるじゃないか。鋼のの陣を必要としない錬金術は規格外だから一緒にするな。それに私は鉱物系の錬成は専門外だ」

「使 え ね ぇ ぇ ぇ ー !!」

 一見冷静に会話をかわしてるように思えるが、2人とも走る速度は緩めない。曲がった先も長い壁の続く路地かと思いきや、どうやらでかい家の住宅街は抜けたらしい。ぎゃーぎゃーと何か後ろから怒声が聞こえるような気がするが気にせず路地奥に走り込んだ。
 視察、という名目で、正式に目を付けていた製薬会社の工場へ向かう途中、最寄りの街を通過する最中に襲撃を受けた。想定の内ではあったので、各自チームで纏まって散開したのだが、いつの間にか孤立してしまったらしい。
「これ挟まれたらサイアクなんですけど」
「あちらもそこまで人員を割いてはいないだろうがな。幸い奴等には追っているのが私かどうか確信はないだろうし、何とでもなるだろう」
 確かに。
 辺りに気を配っているが、気配は殺気をばりばりに振りまいている追っ手のものだけだ。しかし騒ぎに乗じてうまくグループに分散出来たはいいが、引き離しすぎてもいけない。適当なところでこの追っ手連中をふん縛らなければならないのだが。
 その前にこちらの態勢を整えなければこちらがふん縛られかねないというか。縛られる前にちょっと涼しくなるような。…実際はもっと大変な事になるだろうが。
 ・・・それにしても。
「・・・大佐意外と足速いっすね」
 デスクワークばっかで外周りほとんどないし、演習に参加するわけでもないのに。
「隠れてなんかやってたりするんですか」
「そんなワケあるか。第一そんな事をしている暇がどこにあるんだ」
 ・・・だったら溜めずにまっとうに仕事すりゃいいのに。
 とは思ったが、一応口には出さないでおいた。微妙に機嫌はよろしくないようなので。
「第一遅かったら今頃ここにはいない」
 私にとって弾丸とは雨のように降ってくるものだったがな。
 さらりと続けられた言葉だったが、その底にあるものは深く暗い過去の話のはずだ。
 あまりにあっさりと言われるものだから、そうとは思えないが。
「ヒューズなんか私より速いぞ」
 ていうかそれって俗に言う逃げ足。
「あー・・・それは、何となく想像つきます」
 普段、こちらへやってくる時でも、怒れる中尉とか中尉とか(主にこれは対象者は大佐と中佐の2人向けられる)それにたまに大佐(これは何故かよくとばっちりを食らうというか盾にされて逃げられる)から逃亡する手腕はほんとそのスキル下さいとお願いしたいほどだ。
 さて、会話を続けながら背後を伺えば、ちらりと人影が見えた。順調に分けられたらしく、恐らく4人。次の角を曲がった所で、次の角で、と短く上司からのストップが掛かった。
「鬼ごっこは終わりですか?」
 頭に叩き込んできた地図上では、曲がった先は大きな通りではあったが袋小路になっている筈だ。
それは土地勘のある追っ手連中も判っているのか、追いつめたとかなんとか、してやったりなトーンの声が背後から聞こえた。
 傍らに立ち、弾を装填し直して路地の方へと構える。・・・まぁ、いらないだろうけど、念のため。
 さて、チェックメイトはどちらのことだか。


 足音が近付いてくる。


 連中が意気揚々とネズミ狩りにやってくる。
 路地を曲がり、何か啖呵を切るより先に見えるのは、黒と青に身を包んだ男の、白い手だろうか。

 さて鬼さんたち、お疲れ様でした。






「――――風向きが変わるのを待ってたんだ」





 こっちが風下だと色々面倒で。

「戦場に行ったこともないような若造ばっかりの新興テロリストなんぞに好き勝手を許すほど、私はお優しくはないんだ」



 真っ直ぐに伸ばされた腕が振るわれ、指先が軽く乾いた空気を弾く。
 あとは、目を灼く鮮やかな緋が。










作品名:we're wasting time! 作家名:みとなんこ@紺