神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~ 第1~9話
翌日、安田記念病院
「今、何と仰ったのですか?」
なのはの主治医となったテルが説明に苦慮していた。
「つまり、出血量が多すぎて、脳に酸素や栄養が行っていなかった時間が
長かった可能性があるんです。
その為、目覚めても体に何らかの傷害が残る可能性も無いとは言えないんです。
他にもごく小さな傷ではありますが脊髄に損傷も見られました。
これも手術しましたので恐らくは問題ないと思いますが、
もしかしたら傷害が残る可能性もあります」
「そ、そんな…………」
「ぁ、でもそれは、可能性の一つです。俺は必ず良くなると信じています。
あれだけの手術を耐え抜いたんですから良くならないはずがないと信じています!」
テル先生の言葉に少しだけ勇気を貰った士郎達だった。
「でも実際傷害があるか無いかは、なのはちゃんが目覚めてみないと判りません」
「なのはは、なのはは何時目覚めるんですか?」
「それも判らないんです。予定なら後5日、それで目覚めなければ何時目覚めるのか?それは神のみぞ知るという所です」
「大丈夫だ、桃子、なのはは強い子だ、必ず俺たちの元に帰ってくるさ、心配は要らない」
そう、士郎には経験があった。
自分も瀕死の重傷を負って2ヶ月間、生死の境を彷徨った経験が……
それから24時間体勢で高町家の誰かがなのはに張り付いた。
何時、何が起きても良い様に。
アリサ達も毎日お見舞いに来てくれる。
誰一人として一日もお見舞いを欠かすことはなかった。
翌日、士郎はこう切り出した。
「なぁ、桃子、聞いてくれ、俺はもうなのはを管理局に行かせるつもりは無い。
二度と向こうの世界には行かせないつもりだ」
「あなた……」
「あまつさえ子供を働かせ、危険は無いと言っておきながら、
この様な危険な場所になのは達を行かせ、事故が起きても謝罪にさえ来ない、そのような組織を信用することは出来ない。
金輪際、時空管理局とは断絶する!」
その頃、
「あれが理事長の皇 稜斗よ、じゃあ手筈通りに」
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~ 第1~9話 作家名:酔仙