神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~ 第1~9話
前日夕刻
「レティ提督、アリサ・バニングス様と仰る方から通信が入っております」
「アリサさんから?一体何かしら?」
「お久しぶりですわレティ提督」
「一体何の用かしら?気軽に通信しないで欲しいわね」
「何の用ですって?管理局は一体何をやっているのっ?!これだけのことをしておいて!
知らないですってっ?!とぼけるにも程があるわ!」
何を怒っているのかさっぱり判らないレティ、
「もう良いわ、このまま行ったら高町家や不破一族と管理局の全面戦争になるから、
もう知らないわよ一体何人の局員が死ぬのかしら?」
穏やかでない言葉に、レティに緊張が走る。
そう高町家を相手にしてはいけない、前に一度高町恭也と、
なのは、フェイト、はやて、ヴォルケンリッターとの模擬戦を見たことがある。
恭也はこれだけの手練れ7人を相手に、あっという間に勝利を収めていた。
近接戦闘ならSSSを圧倒的に凌駕する戦闘力、
武装隊1000人を持ってしても勝てるかどうか?
そんな連中が何十人も来たら管理局とて勝てる気はしない。
何故そんなことになっているのか?
恐る恐る聞いてみた。
「ハア?まだ連絡が来ていない?どこまで怠けた役所なのよ?」
「まあ良いわ、高町のおじさまはカンカンよ、ただ謝りに行った所であなたの首と胴体がさよならするだけだわ、せめて手みやげを出すくらいのことをして貰えば私が間を取り持ってあげるわ、そうね最新の医療機器とかオーバーテクノロジーだなんて言わせないわよ、欲しいものはこちらで選ぶからありったけ準備しておきなさい、明日見に行くから、それとその連絡の遅さはどう言うことか調べときなさいよ」
言いたいことだけを一方的に言うとアリサは通信を切ってしまった。
困ったのはレティである。
すぐさま情報がどこで止まっているのかを確認する。
年末が近いこの時期もう多くの職員が冬休みを取っている。
調査が思う様に進まない速くしなければ大変なことになると焦るレティだった。
「ゲイズ少将、報告が上がってこないとはどう言うことでしょうか?
貴重な航空魔導師をしかもこちらが貸し出した貴重な戦力を再起不能にまでしておきながら何の報告もよこさないとはどう言うことですか?」
「ワシは聞いておらんぞ、そんな話は?」
「明日の午前中に報告がなければミッドチルダ地上本部に緊急査察を行います」
レジアス・ゲイズ少将は困っていた。
このままでは本局の連中にいい様にされてしまう。
現在実戦配備を目指している戦闘機人もばれたら大事だ、
こうして地上本部もてんやわんやの大騒ぎとなった。
管理局の中には「高町なのは倒れる」「現在危篤状態」「明日をも知れぬ命」「再起不能」などの噂が飛び交い休暇中の多くの職員が呼び戻されていた。
「オイ不味いぞ、まだ生きていたのか?それにあのヴィータとか言う航空魔導師もまだ健在らしい」
「不味いな、あれを見られていた可能性は高い、速く始末してしまわねば」
局の中に不穏な動きをする連中が居た。
「オーリス、不味いぞ、大変なことになった」
「どうされましたか?」
「あの高町なのはの一族はとんでもない化け物らしい、
魔力無しにも関わらずSSSを遙かに凌駕するような化け物揃いだそうだ。
何でもサムライとか言うとんでもない戦闘民族らしくてな、
普段は温厚なのだが一度怒らせたらその戦闘力は1国の軍隊にも匹敵するらしい」
「それが何か?」
「どうやら管理局はその一族を怒らせてしまったらしい。
ここまで攻め込まれたらどうなるか?考えるだけでも恐ろしい」
「だったら、その原因を作った人に責任を取って貰えば良いではありませんか?」
「なるほどこちらの責任にならぬよう、当たり障りのない報告書を作って責任はあのレティに押しつけるか?」
「フッ、レティも終わったな」
「後はこちらの責任者を何人か吊し上げておきましょう」
オーリスは冷たく言い放つとその場を後にした。
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~ 第1~9話 作家名:酔仙