神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~ 第1~9話
第8話 何時目覚めるの?
「もう明日にはICUを出ようかと思います」
テル先生の言葉が続く
「脳神経外科の市野沢先生にも診察して頂きましたが脳波はきちんと出ています。
ちょっとレベルは低いですが問題はありません」
「なのはは何時目覚めるのでしょうか?」
「大丈夫ですよ、お父さん、目覚める兆候として手足をもぞもぞ動かしたり、
瞬きをしたり、寝言を言うことが増えるそうです。
同時にそれは脳が正常に活動を始めた証拠でもあるんだそうです。
そう言う状態が増えれば三日以内に目覚めると思いますよ」
そう言ってテル先生の診察が終わった。
流石にICUに全員が入れるでもなく士郎が説明を受けて出てくるのを待つ。
ガラスの向こうの少女はまだ目覚める気配のないまま眠り続けていた。
「じゃあ寝言とか言い始めたら目が覚めるんだ?」
アリサが尋ねる。
「そう言うことらしい。俺の時はどうだったか桃子さんに聞いてるといい」
何時しかクリスマスを迎えていた。
だが、翠屋のクリスマスイベントも月村家でのクリスマスパーティーも中止された。
クリスマスイヴ、なのははICUから個室へ移ることとなった。
手術から11日が経過していた。
「今日から少しずつ栄養の取り方を変えていきましょう」
今まで点滴だけだった物が鼻の穴から細いチューブを胃まで通す。
始めは、水を20CCほどの注射器に1杯、1日3回から
「大丈夫ですね胃腸もしっかり動いています、少しずつ栄養をメイバランスを入れていきましょう」
テル先生が聴診器でお腹の音を聞きながら診断する。
メイバランス:経口栄養剤の流動食
始めは水で薄めた物を注射器1本から、少しずつ量が増え濃度が濃くなっていく。
それと同時に点滴量が少しずつ減っていく。
最終的には1回200CCを入れられるまでになる。
決して点滴が無くなった訳ではないが回数が減って体に対する負担は小さくなる。
ここまでに六日間、既に年末を迎えていた。
(作:点滴は急激に体温を奪います、心臓周辺の手術をした人間には体力的にキツイ物があります)
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~ 第1~9話 作家名:酔仙