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図書館戦争 堂x郁 記憶喪失(郁視点)

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官舎裏まで一気に走り、壁に寄りかかると、ズルズルとしゃがみ込んだ
膝に額をつけながら、ただ色々な感情が溢れだし、涙が止まらない

嫉妬、妬み、独占欲・・そして愛情

頭の中がグルグルする
感情がコントロール出来ない
もう・・消えてしまいたい

そう考えていると「笠原・・・」と堂上の声が聞こえ、身体がビクッと震える
どうしてこの人は私のこと見つけるのかな・・・
好きじゃないなら放って置けばいいのに・・・

堂上から受け取ったティッシュを握りしめると
「笠原・・・郁?顔を見せてくれ・・」と髪を撫でながら声を掛ける

--- そんなプライベートの時みたいな声で優しく名前を呼ばないで!
--- 私、また勘違いしちゃう!
--- もう・・・優しくしないで教官!

それでも顔を上げない郁に何度も「郁?いーく?」と声を掛ける

渋々顔を上げ「「堂上教官・・ずるい・・・」と呟き、鼻をかむ
そっと親指で涙を拭きとりながら聞いてきた
「いつ記憶が戻った?」
「記憶の無かった期間のことは?」
堂上の質問に答えると、郁を抱きしめながら「・・・おかえり、郁」と耳元で囁く

『おかえり』

--- 側に居てもいいんですか?教官
郁は堂上の背中に手を廻し、嗚咽を漏らしながら泣いた
堂上は郁の右手で郁の背中をさすり、左手で頭を支えながら、郁が落ち着くまでそのままの体勢でいた



ひと通り涙も枯れたところでふと思い出す
--- 教官、付き合ってる人居ないって言ったよね?
--- じゃ、この体勢はなに?
--- 私が教官のことでグルグル悩んでたのに!
--- なんか教官に言いくるめられててずるい!

「教官は彼女居ないんですよね?」
そう言うと、堂上は「うっ・・」と声を漏らし黙りこむ

今まで仕返しとばかりに
「恋人いないんですよね?」
「付き合ってる人いないんですよね?」
「私は元カノってことですかね?」
と意地悪そうな笑みを浮かべ堂上の返事を待つ

暫くすると、堂上は立ち上がり、郁に手を差し伸べる
郁が堂上の手を取るとグイっと引っ張られ、堂上の胸元にすっぽりと収まった

「・・・すまん。後で説明をする・・・」
「別に良いですよ。私元カノなので。弁解しなくても結構ですが?」
「お前はまだ言うか・・・」
ぎゅっと抱きしめられた

--- ちょっと意地悪しすぎたかな?
そう考えていると、堂上はふぅーと一回息を吐き出し郁の顔を見ながら「ちゃんと聞けよ」と話す

「・・笠原郁さん、俺と結婚してください」
へ?
教官・・・なんて言いました?私の聞き間違え?
なんで切羽詰まった表情で私を見るんですか?

口をパクパクさせてると「返事は?」と催促された

--- えっと・・夢じゃないよね?
--- これってプ・・プロポーズだよね?
郁は茹でたこの様に赤くなり、「はい・・よろしくお願いします」と答えた
「よし良い子だ」
堂上は郁を再度抱きしめ、額、目、頬と順番に唇を落し、最後に軽く口づけをした



堂上に手を繋がれて歩く
つい数時間前までは悶々としていたのに、今は雲の上のような足取りだった