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世界一初恋 高x律 大切な気持ち

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【SIDE 高野】

--- 『好き』って気持はどこから生まれるのかな?

『好きだ』と気付けばもう止められない
しかも職場も一緒、隣人というおまけ付き

『織田リツ』のことは好きだった。
でも、今は小野寺のことが好きで仕方ない

--- 止まらない

これは裏切りなのだろうか?
『織田リツ』に対する罪悪感が胸をチクリと刺す

心から愛していたと思う
もう二度と、あいつ以上に愛せる人はいないと思っていたのも事実
それなのに、俺は小野寺に惹かれて仕方ない
まるで磁石のように、俺はあいつに引き寄せられる

毎日、顔を合わせるだけでドキドキする
声を聞くだけで心臓が高鳴る
手が触れるだけで・・・理性がぶっ飛びそうになる

四六時中あいつのことしか考えられない



けたたましく電話が鳴り響く
現在修羅場中の職場ではおなじみの光景なのだが・・・

「高野さん!!小野寺が交通事故に遭い病院に担ぎこまれました!!」
何だって?
俺は羽鳥を凝視すると、受話器を持ったまま「○○病院です!」と言う

「・・・木佐!○○病院に行って状況を確認しろ!」
「うん!分かった!」

本当なら俺が直ぐにでも駆け付けたいと思った
だが、入稿も終わってないこの状態で仕事を放棄できない

最悪のシナリオが頭をよぎる
何度頭を振って考えないようにしようとしても、手が震えてしまう



入稿が完了し、俺は急いで○○病院へ駆けつけた
木佐からの報告では、一命は取り留めたが、意識が戻っていないと聞いていた

--- 小野寺・・お前までも俺の側から消えてしまうのか?

病室に入ると、小野寺の両親が出迎えた
軽く挨拶を交わし、現在の病状を確認すると、左足、右腕骨折、全身打撲と
全治三週間とのことだった

「子猫が飛び出したのを助けたようです」
小野寺の父親は苦笑いしながら「全く困った息子ですよ」と言う

「息子は小動物が苦手らしく、
 学生時代、久しかった先輩の家に猫が居たらしいんですが、
 近寄ることが出来ないって話してました」
「それって・・」
「留学前なので、律が高校一年の頃ですね」

昔の記憶が甦る
リツは自宅にいたソラ太が近づくだけでビクビクしていた
『嫌い』なのではなく『怖い』と話していた

「失礼ですが、律さんの高校は?」
「○○高校です。中高一貫の学校でして。」
「・・・・っ!」
「苦手な動物を助けようとして、自分が怪我するなんて・・・」

同じ学校で、猫が苦手で・・・高一の時に久しい先輩って俺のことか?

「不躾な質問で恐縮なのですが、『織田リツ』さんというのは御親戚と伺っていますが?」
「妻方の従兄弟にあたります。あの子は身体が弱くて15歳という短い人生でしたよ」
「・・・学校には通われて無かったのですか?」
「ずっと自宅養生でしたが、それが何か?」

失ったハズのパズルのピースが見つかった

--- お前がリツだったのか・・小野寺

でもどうして言わなかった?
伝えるチャンスはいくらでもあったハズだ
それなのに名乗らなかったのは、俺のことが嫌いだから?

--- 拒絶されている?

お前から見て、俺はどう映ってたんだ?
昔の俺のことは『好き』でも、今の俺の事はどう思ってる?

お前の口で真実を語ってくれ・・・律