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世界一初恋 高x律 大切な気持ち

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【SIDE 高野】

数日後、意識が戻ったと病院から連絡を受け、急いで駆け付けると
小野寺の父親が険しい顔をして、ベットの椅子に腰かけていた

小野寺は上半身起き上がっているが、病室に入ってきた俺に気付かないのか
何も反応を示さない

「小野寺?」
父親に軽く会釈し近づいて声を掛けても反応しない
小野寺の顔の前で手を振っても、視線すら動かず、まるで人形の様だった

「医師の説明では『総合失調症』だそうです。
 現在の律は無為自閉で、自らの心を閉ざしてる状態です」

心を閉ざす?どうして?

「息子がご迷惑お掛けして大変申し訳ない。」

「いいえ。仕事のことでしたらご心配無用です。
 彼が復帰するまでの間、我々が全力でサポートします」



病室を出たあと、どうやってマンションまで戻ってきたのか記憶がない
気付けばジャケットを着たまま、ソファーに座っていた
廻りを確認すると、鞄は放りだされ、照明も点いていない

どのぐらい放心していたのだろうか・・・

ブルッと身体が震える
近くにいるのに、触れることが出来るのに、心が届かない

小野寺が心を閉ざしたのは俺のせいか?
心を閉ざす程に俺を拒絶するのか?

だけど・・ごめんな小野寺
俺はお前を離してやることが出来ない
もう離れない、失わないって決めたんだ
どんなに泣こうが騒ごうが、俺はお前の手を離すわけにはいかない

離れていた10年間分、何度だってお前に言ってやる
「好きだ・・愛してる」



翌日
小野寺の病状をエメ編メンバーに話すと、皆俯いてしまった
「律っちゃん大丈夫だよね?」
「ああ。一時的な症状だと思うから、そのうち元に戻ると思う」
「ですが高野さん。小野寺の場合特殊なケースかもしれまんよ?」
「どういうことだ?羽鳥」
「以前、参考資料で読んだことがあるのですが、”心を閉ざす”というのは心的ストレスにあたり、下手にカウンセリングを行うと逆効果になり、心が壊れることがあると記述がありました」
「つまり?」
「何もしなければ治りもしないし、下手をすれば小野寺が壊れるということです」
「それは厄介だねぇー」
「律っちゃん、何か悩んでたのかな?俺隣に居たのに全然気付けなかったよ」
「仕事中は別に問題なさそうだったけどね。高野さん何か知ってる?」
「・・・・心当たりはある。」
「・・・そっか。高野さんの心当たりは多分ビンゴだろうね」
「どういうことだ?美濃?」
「んー俺って結構第三者的視点から皆を見てるからさ。なんとなくだけど気付いちゃうんだよね」
「だからどういうこと?」
木佐、羽鳥が美濃を見ながら答えを急かす
美濃を俺を見ながら「どうする?俺が話す?」と言う様な視線を向ける
俺は深く深呼吸をしてから、皆の前で話しを続けた
「俺と小野寺は学生の頃付き合ってたんだ。」
「「え?」」
「実は俺も小野寺が入院した時に知ったんだけど。
 10年前に別れた恋人が小野寺で、当人は『織田リツ』って偽名を使ってて。
 俺が本当の名前を知ったのがつい最近ってこと」
「「「・・・・・」」」
「あいつ、似てたんだよ。昔の恋人に。今思えば当たり前だよな。本人なんだから。
 でも俺はそうとは知らず、小野寺のことが好きになって、口説いてたんだ」
「高野さんは昔の律っちゃんと今の律っちゃんを重ねてたの?」
「いいや。あ・・最初はそうなのかな?って思ったけど、違うって気付いて、だから俺は小野寺に告った
 もちろん、学生の頃好きだったヤツのことも話してあったし、そいつと小野寺自身は面識があったんだよ」
「どういうこと?」
「『織田リツ』っていうのは実際に存在してたんだ。小野寺の従兄弟だったんだよ。
 だから気付かなかったんだ。小野寺と偽名『織田リツ』が同一人物だってことにさ」
「それで小野寺は?」
「告白は断られたよ。だけど俺は諦めきれないから何度もアタックしたってわけ」
「ところが小野寺君は昔付き合ってたのが自分だと言えず、更に高野さんは過去の自分と今の自分を重ねてるかもって思っちゃってるわけだ」
「多分な」
「でもさぁーそれって心を閉ざす要因になるの?」
「そこだな」
「もっと根深いのかもしれないよ?高野さん」
「・・・・・」
「”やり直したい”って思ってるかもね」
「美濃どういう意味だ?」
「そのままの意味だよ。全部リセットして。過去もすべて。一からやり直したいって小野寺君は思ってるんじゃないかな?」
「過去も忘れて、出会いからってこと?」
「そう。恋する気持すらリセットして、最初からやり直したいって考えてる可能性はあるよね?」
「仮に美濃様の言う通りだとして、律っちゃんの症状が良くなるにはどうすればいいの?」
「んー俺は小野寺君じゃないから分からないけど、高野さんが側に居れば治るんじゃない?」
「なんだそれ?」
「羽鳥が言ったみたいに、下手すれば壊れちゃうかもだけど、多分小野寺君は大丈夫だよ」
「だけど矛盾しないか?初めからやり直したいなら出会いも含めてだろ?
 高野さんが側に居たら逆効果なんじゃないのか?」
「ん?小野寺君が”やり直したい”って思ってるなら”今から”やり直せばいいんだよ。
 別に過去のことなんてどうでも良くてさ。根気良く高野さんが今の小野寺君に対して思いを伝えてれば戻ってくると思うよ」
「根気よくねぇー」
俺は頭をガシガシ掻きながら、さてどうしたものか?と考えていた

恐らく美濃が話したことは十中八九当たっているだろう
だが、羽鳥が言ったように、下手をすれば心が壊れてしまう
”過去”に囚われる小野寺に未来を共に歩みたい俺
この気持をどう伝えればいいのか、俺は考えあぐねていた