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世界一初恋 高x律 大切な気持ち

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【SIDE 高野】

仕事が終わってから病院に通うことが最近の日課になっていた
小野寺の病室へ行き、一日の出来ごとを話し、面会時間ギリギリまでずっと側に居た

ほぼ毎日来ているせいか、小野寺の両親から何度も頭を下げられた。
それでも”迷惑だなんて思っていない””俺が側に居たいだけ”と伝えると、吃驚した表情で俺を見ていた
ただの職場の上司が、毎日足を運び、側に居たいだなんて聞いたら、普通の親なら敬遠すると思うが
小野寺の両親は「ありがとう」と一言いい、それ以上のことは何も聞いてこなかった

看護師とも顔なじみになり、小野寺の昼間の様子を聞くこともある
テレビを点けても表情は変わらず、車いすに乗せ院内を散歩しても何も反応がないと言う

それでも毎日、いつかは戻ってくるであろう小野寺を待ちながら俺は病室へと向かう

そんな日々が続いたある日、状況が一変した



いつも通り病室へ足を運び、定位置となっているパイプ椅子に腰かけ、小野寺の右手を握る
入院中に痩せてしまった手は弱弱しく、それでも俺は壊れ物を触るようにゆっくりと手を取り
日課である今日の出来事を話す

ひと通り話し終わったあと、小野寺を呼ぶ
これも毎日の日課だ
何度も何度も「小野寺」と声を掛け、少しでも反応があるか確かめる

いつもと変わらず、何も反応を起こさない小野寺の髪を梳きながら「俺の元に戻ってこい。」と話しかける
人形のような小野寺の身体をそっと抱きしめ「律・・好きだ。愛してる・・律」と耳元で囁くと、ピクリと肩が動いた気がした

俺は慌てて少し離れ小野寺の表情を確認する
エメラルドの瞳が揺れ、瞳孔が僅かに開いているように思われた
今までにない反応に心が早鐘の如く騒ぎ、ゆっくりと話しかける
「律?りーつ?」
何度か名前を呼ぶと、焦点の合って無かった目が俺を捕らえた
「律!?」
つい興奮して大きな声を上げてしまったことに後悔をしつつ、小野寺の反応を待っていると
「・・・た・・かの・・・さ・・ん」と掠れた声で俺を呼んだ

「律!!」
そのまま俺は小野寺を抱きしめると「・・痛い・・です」と弱弱しく返事が返ってきた
「ごめん」と一言いって小野寺を離し、とりあえず医師を呼ぶべくナースコールをした



医師の診察が終わり、再度病室に入ると、小野寺はバツの悪そうな顔で俺を見ていた
「何その顔」
「別に・・高野さん仕事どうしたんですか?」
「終わったから来てたの」
「そう・・ですか」
ゆっくりと小野寺に近づき、椅子に腰かける

「お前さ。俺に何か言う事あるんじゃねぇーの?」
「え?」
「何で心閉ざしてたの?」
「・・・・っ!」
「俺のこと嫌いなの?」
「そ・・それは・・・」
「俺はお前のこと好き。お前は?」
「・・・・・」
「ま、別に言いたくないなら今はいいけど?」
「?」
「俺は待ってるから。告白したくなったらいつでもどーぞ」
「な!何言ってるんですか!!バカじゃないですか?!」
「俺本気なんだけど?織田リツさん?」
「へ?」
「お前の親父さんから聞いた。織田利津のことも。お前のことも」
「・・・っ!なんで・・」
「なんで黙ってた?」
「べ・・別に・・タイミングが合わなかっただけですよ!!」
「タイミングが合ったら話してたのかよ」
「・・・・・」
「ハッ!お前のことだからずーと黙ってただろうな」
「・・・・怒ってます?」
「ああ。すっげぇー怒ってる」
「・・・・すみません」
俯いた小野寺の頭をクシャと掻き混ぜながら「ちげぇーよ。お前にじゃねぇーよ」と伝える
小野寺はキョトンとした顔で俺を見ながら続く言葉を待っている
「俺が気付けなかったことに腹立ててんだよ。フラグは結構沢山立ってたんだよな」
「フラグ?」
「そ。最初からお前が『図書室の本を全部読んだ』とかお前にキスした時に感じた懐かしさとか、表情とか。
 全部フラグが立ってたのに、俺は気付けなかったんだよ」
「何フラグですかそれ・・」
「ん?初恋フラグ」
「ハァー?」
「お前が黙ってても、俺が気付けばそれで良かったんだよ。そうすればお前も素直になれたかもしれないのになぁ?」
「ば・・バカじゃないですか!?何ですか初恋フラグって!ゲームじゃないんですから!」
「そうだな。ゲームじゃない。現実だな。俺はお前を離したくないし、離すつもりもない」
「・・・・っ!」
「お前が逃げても追いかけるし、嫌がっても離さない」
「随分と俺様な主張ですね。俺の意見なんて無視ですか?」
「選択肢は二つ。お前が俺を受け入れるか、俺がお前を離さないかどちらか一つだ。それ以外は認めない」
選んでいいぞ?とニヤリと笑いながら小野寺を見ると、真っ赤になりながらワナワナと右手を握りしめながら震えている

「どうして・・・そこまで俺に構うんですか?もう嵯峨先輩とは終わってますよ」
「ああ。そうだな”嵯峨政宗”とは終わってるな。だが”高野政宗”とは終わっていないし始まってもいない」
「何言ってるんですか?嵯峨先輩も高野さんも同一人物ですよね?」
「お前の中では別人だろ?」
「それは・・・そう・・かもしれませんけど・・でも・・」
「何度も言うけどさ。俺は今のお前が好きなの。過去の織田リツじゃなくて。今のお前が好き。
 だから、お前も俺を・・高野政宗を好きになって。今の俺を見て。」
「高野さん・・・・」
「律・・俺はお前が好きだ。」
こつりと額を合わせ、小野寺の顔を覗き込んだ
「返事ちょーだい」
そう言うと、小野寺は一瞬困った表情になったが、次の瞬間優しく微笑んだ
なんて表情をするんだろうか・・・
俺はその表情に心が満たされた感じを受けた