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世界一初恋 高x律 大切な気持ち

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【SIDE 高野】

正直、気持の整理が出来なかった

俺は本当に『織田リツ』を好きだったのだろうか?
今まではあいつ以上に愛せる人は存在しないと信じていた
それぐらい、俺はあいつのことが大事だったし大切だった

どんな理由にせよ、もう一度逢って話し合って、二人でやり直したいと考えていた

なのに、今は小野寺のことばかり・・・頭から離れない
正に寝ても覚めてもあいつのことばかり考えている

俺の今の心情を含め、小野寺に話そうと思った
中途半端な気持で小野寺に触れてしまったことも詫びなければならない

あいつにとっては迷惑かもしれないが・・・



小野寺は何事も無かったように振舞っている
まぁー相変わらず俺のことの距離は縮まらないが、気にもしていないという感じだった

「小野寺、話がある」
「何ですか?」
「昨日のこと、謝ろうと思って」
「・・・・いいです。俺、忘れましたから。高野さんも忘れて下さい」
「気にしてねぇーの?」
「ええ。俺の方こそすみません。殴ったりして」
「それこそ別にいーんだけど」

「話、それだけなら仕事に戻ります」
「今日時間空けておけ。ちゃんとお前に話すから」
「今日都合悪いんで」
「じゃ明日」
「明日も都合が悪いです。っていうかずーと都合が悪いです」
「なにそれ?お前やっぱり気にしてんじゃん」
「違いますよ。ただ高野さんとプライベートで関わりたくないだけです」
「うわっ!お前ひでぇーな」
「本当のことですから」
「上司命令」
「はぁ?」
「断ったら明日仕事五割増し」
「・・・分かりました」



「俺の部屋でいいよな?」
「は?」
「部屋呑み」
「何で高野さんの家なんですか?居酒屋とかでいいじゃないですか!?」
「『織田リツ』絡みの話しだから。二人っきりで話したい」

ブツブツ言いながらも電車に乗って、
最寄駅で降りると小野寺は怪訝な表情でホームで立ち止っている
「どーした?」
声を掛けると眉間に皺を寄せながら「なんで・・」とポツリと呟く
俺は気にせず小野寺の腕を引っ張りながら「いくぞ」と改札を出た

近くのコンビニで酒とつまみを購入し、自宅マンションまで歩いている最中も
小野寺は居心地悪そうに後を付いてくる

エレベータに乗り12階を押すと、「げっ!」と声を上げた
「何?」
「・・・い・・いいえ。き・・気にしないでください」
部屋の前まで行くと、今度はハァーと盛大に溜め息をついた
「だから何?」
「何でもありません!」

リビングへ通し、袋からビールを取りだしたあと「お疲れさん」と乾杯をする
小野寺は正坐したまま、チビリチビリと呑み始めた