神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~10-18話
翌日夕方、
アリサが一人でやってきた。
「叩いたりして悪かったわよ、臭いが嫌なら自分で消しときなさいよ、自分で出来ることは自分でする!」
そう言って、スプレーボトルを投げて寄こすとそそくさと帰っていった。
それはトイレの消臭スプレーだった。
アリサはアリサなりになのはのことを気遣っていた様だ。
夜、夕食の後にリンディとフェイトがやってきた。
「はい、レイジングハート直ったよ」
フェイトから手渡されたレイジングハートは、
いつもの様になのはの胸元に戻っていった。
「それから今回の様な騒ぎを起こされても困るので、レイジングハートにちょっと細工をさせて貰いました」
横で難しい顔をしていた士郎にリンディが話しかける。
「レイジングハートには会話機能と通信機能を除いて全ての機能に厳重リミッター処置を施しています。そしてこれが解除スイッチです」
そう言って士郎に小さなリモコンを手渡した。
安全カバーを開いてボタンを押さない限り解除出来ない仕組みだ。
しかも、使えるのは1回こっきり一旦解除してしまえばもうリミッターは存在しない、加えてリモコンを壊しても解除されてしまうので注意が必要だそうだ。
リミッターの解除スイッチを士郎に持たせることで理解を得ようと言うのだ。
この先、なのはが魔力を使っても安全な状態になるまで解除しないと士郎はそう言ってスイッチを受け取った。
それでもなのはは嬉しかった。
相棒が手元に帰ってきてくれたことに。
「ぁ、なんかレイジングハートが話があるって」
何とレイジングハートが士郎に話しかけた。
『もう、余り滅茶苦茶しないで下さい、もの凄く痛かったんですよ!玉のお肌に傷が付いたじゃないですか?』
と、英語で抗議している。
「そ、それは済まなかった」
思わず謝る士郎とレイジングハートのやり取りは、見ていてとてもほほえましかった。
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~10-18話 作家名:酔仙