神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~10-18話
第18話 高町家の日常
翌朝、ルイーズ・ポメリーは道場からの木刀がぶつかり合う音で目を覚ました。
「一体何?こんな時間から……」
高町家の朝の練習だった。
音のする方へ行ってみると道場で美由希と恭也が打ち合っていた。
凄まじい速さでお互い技を繰り出す。
それを受け止めて技を返している訳だが、素人には何がどうなっているのか?
さっぱり判らないというか目で追うことすら出来ない。
ただはっきり言えることは二人の姿が道場の中を言ったり来たりしている間にもの凄い手数の応酬があるという事、音だけははっきりと判る。
「そこまで!」
士郎の声でお互い動きを止めた。
「おはようございます」
「おはようポメちゃん」
「ポ、ポメちゃん?~~~~~~」
「そうポメリーさんだからポメちゃん!」
美由希がそう決めたのだ、愛称ポメちゃん、こうして彼女の愛称はポメちゃんになってしまった。
「さあ、みんな朝ご飯よ~」
桃子が呼びに来た。
「うみゅ、眠いのです~」
なのははすっかり寝坊癖が付いていた、病院の食事は朝7時半、現在朝6時半、いつもならまだ夢の中だ。
「ぁ、それ可愛くて良いかもです」
愛称ポメちゃんはすぐに浸透してしまった。
朝食が終わった頃はやてたちがやって来た。
今日はリハビリがある為学校はお休みするという。
「でもなんでシャマルさんは転送魔法が出来るのにあんなアイテムを?」
「それはやな、転送魔法の精度に問題が有るんや」
はやてが答える。
専門の転送魔導師や召喚師でもない限り送り先の位置がずれるのだそうだ。
しっかりと座標を確認したつもりでも1~2mずれるのは当たり前だという。
疲れている時や寝ぼけていたり体調の悪い時などは20~30mずれることもざらだという。
もし道の真ん中や隣の家にでも転送してしまったら大事だ。
でも、このアイテムが有ればどんな状態でも正確無比にピンポイントで転送が出来るそうだ。
「なるほどねぇ~」
「所ではやてちゃんは何しに来たの?」
「あ、そうや、おじさんに借りたい物があって来たんよ」
はやては、丈夫な釣り竿とタモ、クーラーボックスを借りていった。
「もし釣れたら、今夜は夕食私が作るで?」
そう言ってはやては帰っていった。
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~10-18話 作家名:酔仙