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世界一初恋 高x律 続パラレル

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幼き二人の問題はこれで解決するだろう
次は・・・あの鬼畜上司をどうすればいいか・・・

僅かに残っていたコーヒーをマグカップへ注ぎ、シンクに寄りかかりながらコクリと一口含むと、タイミングよく携帯が鳴った
チラリと発信者を見ると『高野政宗』と表示されている
まず一回目は無視決定
暫くすると、再度着信が鳴った
二回目も無視
三回目の着信が鳴った時、出るのを躊躇していると留守電話になってしまった
仕方ないか・・と暫く待ってると、留守番にメッセージが一件ありますと表示された
慌ててメッセージを再生すると、
『ごめん。律。ちゃんと話したいから・・お願い』
と一言だけ入っていた。

いつもなら、電話&チャイム連打&ドアに蹴りを繰り出し近所迷惑なんてお構いなしでやってのける高野さんが、弱弱しく電話のみでアプローチすること自体が稀でだと思う。

どうするかな・・・まぁー大体事情は分かっているのだが、それでも”もう一人の俺”をお手付きにしようとした態度が気に入らない

例え、その場の雰囲気で悪戯をしたというのも・・あの人の性格ならワザと仕掛けた可能性もある
本気でないにしても、手を出したことには変わりないのだから、俺は怒っても許されると結論付けた

四回目のコールは鳴らない
それは高野さんが躊躇しているからなのか、俺からの電話を待ってるのか・・・
俺は天井を見上げた後、ふぅーと溜め息を付き、寝室の扉を見る
今頃もう一人の俺と彼は仲直りをして、互いを確かめ合ってると思うと、急に顔が赤くなった

「ごゆっくりどうぞって言ったのは俺だしな・・」
携帯を握ったままの手を見ながら、ふっと考えた

「今の先輩となら話しが出来るのにな・・・」
ポツリと誰に言うわけでもなく、呟いた

当時高校生の俺は、先輩の側に居るだけで緊張して会話すらまともに出来なかった
でも今の先輩・・もう一人の高野政宗とは真正面から話しが出来る

それはきっと、俺の中では別人と括られていて、なんだか放っておけない弟のような気がするからかもしれない
彼と話していると、高野さんの本音が聞けるような気がするから可笑しい

今頃高野さんはソファに座りながら、携帯を片手に俺からの連絡を待っているのだろうか?
泣きそうな顔をして、情けない姿で沈んでいるのだろうか?

そう思うと、なんだか愛おしくなって、抱きしめたくなってしまう
「惚れた弱みってやつかな・・俺も・・」
クスリと笑い、シンクにマグカップを置き、体勢を整えて歩きだす
そう、高野さんの部屋へ向かうべく玄関の扉を開けた

玄関のドアを開け、ふと左を見ると高野さんがドアの前で立っていた
「何してんですか?」
ぶっきら棒に言うと、「律が出てるくのを待ってた」と言って顔だけこちらを向いた
なんだかふてぶてしい態度が気に入らないので、「そうですか。それでは」と言ってもう一度部屋に戻ろうとすると、ガシッと扉を掴まれ「話しがある」と低い声で話す

「俺は高野さんと話すことはありません」
本当は高野さんの様子が気になり部屋から出たクセに、虚勢を張って悪態を付く

「・・・律。話しを聞いてくれ」
高野さんの弱弱しい声を聞くと、つい力が抜けてしまう
無言のままジッっと高野さんの目を見つめていると、「あいつら部屋にいるんだろ?だったら俺の部屋で話そう」と言ってグイッと腕を引っ張られ、そのまま高野さんの部屋まで連行された