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世界一初恋 高x律&桐x横 名前を呼んで

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「呼び名ですか?」
「そう。横澤は高野のことを『政宗』って呼ぶだろ?俺のことなんて名前で呼んだことねーよ」
「・・・拗ねてるんですか?」
「・・・・・」
「桐嶋さんって見た目に寄らず子供っぽいんですね」
「よく言われる」
「横澤さんに嫉妬してもらいたいんですか?」
「・・・・・」
「出来れば俺を巻き込まないで欲しいんですけど・・・」
これ以上厄介事が増えるのは勘弁して欲しい

「お前は高野に嫉妬して欲しくないの?」
「あの人は嫉妬深いんです。俺が他部署と話しているのを見るだけで睨みを利かせますから」
「小野寺は愛されてんな」
「・・・・・嫉妬が愛なんですか?」
「俺はこう見えても独占力が強くて、嫉妬深いんだよ」
「某編集長と同類じゃないですか」
「あーだから俺と小野寺って話し合うのかな・・・」
「いや・・全然噛み合ってないように思いますが?」

「まぁとりあえず、二人っきりの時は俺のこと『禅』って呼んでよ。俺も『律』って呼ぶから」
「・・・冗談ですよね?」
ヒクヒク引きつる頬を擦りながら、桐嶋さんに問いかけると「冗談じゃないけど?」と答える

「えっとですね・・・桐嶋さ・・」
「禅」
「・・・・”禅さん”。正直言って、俺だって高野さんのことを名前呼びしてませんよ?」
「そうなの?」
「ええ。名前呼びしてるのは横澤さんだけですよ」
「余計ムカツクな」
「・・・・『禅』って呼んで欲しいって横澤さんに話されたら如何ですか?」
「前に話したら『ふざけんな。いっぺん死んでこい』って怒鳴られた」
「・・・・・」

「あいつら同い年だし、一番の親友として側に居るのは分かってる
 横澤だって、もう高野に未練はないだろうしな・・・多分」
「弱気ですね」
「心配なんだよ。あいつ全然俺に甘えてこないし。
 家にいても仕事かヒヨ・・俺の娘ね・・かソラ太の話ししかしないしさ」

「俺だってそんなに会話ありませんよ?」
「そうなの?」
「ええ。桐・・”禅さん”がどこまで知ってるか分かりませんが、俺達はお互いのこと殆ど知らないんですよ」
「そうは見えないけどな」
「俺達の時間は10年間止まってたんです。最近やっと動き出したばかりで、それこそお互いの好きな食べ物も知りませんよ」

「だけど、横澤なら高野のことを良く知ってるよな?」
「ええ・・まぁそうですね。錠剤が苦手で粉薬しか飲めないとか、未だにお互いの合い鍵持ってますし」
「・・・・・それマジ?」
「へ?」
「合い鍵」
「・・・・はい。横澤さんが出張の時はソラ太を預けに来てましたし。あ・・今は”禅さん”の家で預かってるとは思いますが・・」

「”律”は平気なの?横澤が合い鍵持ってても」
「あの・・”禅さん”、俺の名前呼ぶの辞めてもらえませんか?心臓に悪いんで・・・
 合い鍵の件は別にどうとも思ってませんよ」
「何で?」
「・・・・横澤さんのことも信頼してますし、高野さんを信用してますから」
「・・・やっばいなお前・・・惚れそうになった」
「・・・冗談でも勘弁してください・・・」

「高野がお前に一途な理由、分かった気がする。」
「そうですか?俺には理解できないんですけどね」
「無自覚って怖いな・・・小悪魔的存在なんだなお前・・・」
「小悪魔って何ですか?既に人間じゃありませんよね?悪魔ですよね?」
「横澤も”律”ぐらいの小悪魔レベルを上げてくれればいいのになぁー」
「だ・か・ら!名前呼びしないでください!」
「二人の時は名前呼び決定な。これ上司命令」
「うわっ!横暴俺様パワハラ編集長がここにもいた・・・・」

「ここにもって他に誰の事言ってんの?」
「へ?」
「おう。高野!良くこの店が分かったな」
「ええ。横澤が教えてくれました」
「た・・高野さん?どうしたんですか?横澤さんは?」
「ああ、あいつなら外で電話してるぞ」
 
「政宗?桐嶋さん達いたか?」
「ああ。こっちだ」
「あのぉー桐嶋さん、そろそろ帰りませんか?」
「丁度良いからお前達も一緒に呑もう」
「「え?」」 「いいですよ」
「ちょっ・・高野さん!」
ズイズイと俺を奥に追いやり、隣にドカッと高野さんが座った
桐嶋さんも同じように奥へ行き、横澤さんに座れと目で合図していた
追加でビールを頼み、四人で呑むことになった