世界一初恋 高x律&桐x横 名前を呼んで
タクシーの中では高野さんはずっと俺の手を握ったまま無言で、
マンションに着いて、高野さんの部屋に入るまで一言も話さなかった
リビングへ入り、ジャケットを脱ぐと、高野さんが背後から抱きしめてきた
「どうしたんですか?」
「律は俺のものだ」
「・・・桐嶋さんの言ったことなら気にしないほうがいいですよ?」
「それでも、俺は不安なんだよ。律が他の誰かに取られるんじゃないかって」
「・・・俺の意思は無視ですか?」
「お前、可愛いから。美人だしそこらの女より数万倍綺麗だし」
「俺、男ですよ。綺麗とか言われても嬉しくないんですけど?」
「いーんだよ。でも桐嶋さんに取られるかもって思うと心臓が苦しくなる」
「桐嶋さんには横澤さんがいますよ?」
「それでもだ。」
「視えない恐怖と闘ってたら疲れますよ?」
「ねー律。言って。俺のこと好きって言って」
「・・・・////」
「お願い・・律」
「・・・好きですよ。高野さんの事が好きです」
だから大丈夫ですよ?と高野さんの腕にそっと自分の手を添えて、身体を高野さんに預けるように寄りかかった
「律・・好き・・大好き・・愛してる」
「はい。知ってますよ」
「好き・・大好き」
「・・しつこいですね」
「愛を確かめませんか?」
「は?」
「俺がどんなにお前のことが好きか、言葉だけじゃなく身体にも刻んでやる」
「へ?・・いや・・あの今日は疲れてるんで・・遠慮しておきます!!」
慌てふためく俺を無視して、高野さんはグイグイと引っ張り、ベットの奥へ押しやり
後から抱え込むように抱きしめながら首筋にキスを落す
「ちょっ・・高野さん///」
「律」
グイッと仰向けにされ、高野さんの顔が近づいてくる
優しくゆっくりと額にキスされた後、目尻、頬、鼻、耳と順にキスをされ、最後に唇へチュッと軽くキスを落す
「顔真っ赤」
「・・・っ!」
「律、可愛い」
チュッとわざとリップ音を立てながら唇へキスをした後、ぺロリと舐められ、深いキスへと変わっていく
口腔内に入ってきた舌に歯列をなぞられ、上顎を舐められ、俺の舌に絡んでは強く吸われる
何度も何度も角度を変えながら口づけされ、熱い吐息を漏らしながら同じ温度を分け合う
俺は高野さんの背中に手を伸ばし、ギュッと抱きしめると、高野さんも同じように俺を抱きしめ返した
*
翌日、出勤して暫くすると俺専用の内線電話が鳴った
「はい。エメラルド編集部 小野寺です」
『桐嶋だけど?』
「おはようございます」
『昨日は悪かったな』
「いいえ・・・」
『家に戻った後、横澤と話しをしたよ』
「そうですか」
『多分今日横澤が高野に鍵を返すと思う』
「・・・・・はい」
『色々すまなかったな。お前まで巻き込んで』
「いいえ・・俺は大丈夫です」
『ところで小野寺?上司命令は覚えてるか?』
「へ?」
『二人っきりのときは名前呼び』
「あーーそれって有効なんですか?」
『反故した記憶はないんだが?』
「・・・・・・」
『電話って二人っきりに該当しないか?』
「いや・・違うと思います。少なくとも俺の廻りには人がいますから」
『それはギャラリーだと思えばいいだろ?』
「って言うか、内線で仕事以外の話しをしないでください!」
『ん。じゃ今からそっち行くから』
「はい?」
ガチャン・・・・プーップーップーッ・・・
ハァー・・・
盛大な溜め息を落し、編集部を見渡すと、幸いなことにエメ編には俺だけしか居なかった
すでに通話が終わっている受話器を置き、先程まで作成していた企画書の続きを作成しようとした時
肩をトントンと叩かれ、もしや?とゆっくりと振り向くと、桐嶋さんが飛びっきりの笑顔で「よう!」と挨拶してきた
作品名:世界一初恋 高x律&桐x横 名前を呼んで 作家名:jyoshico