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世界一初恋 高x律&桐x横 名前を呼んで

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「・・・お疲れ様です。って言うか、本当に来たんですか?」
「俺って有言実行タイプなんだよね」
「編集長がウロウロしてて大丈夫なんですか?」
「うちの編集部は部下が優秀だから、放って置いても問題ない」
「・・・それは逆にエメ編が腑がいないってことですか?」
「そんなことは言ってないだろ?悪く捕らえたんなら謝るよ」
「それなら、いいです」

「ところでエメ編部員は皆外出?」
「えっと・・高野さんと羽鳥さんは部決会議で席をはずしてます。木佐さんと美濃さんは各担当作家のところに行ってます」
「そうか。じゃ二人っきりだな?”律”」
「・・・・やっぱり何かが減るような気がします」
「お前も呼べよ。俺の名前」
「強制されて呼ぶようなことじゃないと思いますけど?」

「ハァー。淋しいなぁー横澤も結局名前では呼んでくれなかったし・・・」
「そうなんですか?」
「ああ。昨日の家族会議では合い鍵を返すってことで決着ついたんだよ」
「・・・・・」

「なぁー”律”。名前呼んでくんない?その為にわざわざエメ編まで来たんだらさ」
「俺は呼んでませんよ。”禅さん”が勝手に来ただけですよね?」
「いいねぇー新鮮だね!もっと呼んでよ」
「暇なんですね。俺忙しいんですけど?」

「今度暴れグマ必勝法教えるからさ」
「・・・本当ですか?」
「本当。ジャプン編集長に任せろって」
「・・・・”禅さん”を信じても良いんですか?」
「ああ。なんなら【部決会議における暴れグマの口封じ方法】を解説付きで作成してやる」
「・・・いつ貰えますか?”禅さん”」
「来月の周期明けまでに作成するよ。”律”」
「うっ・・俺の名前はやっぱり呼ばないでください」

「律、りーつ、律っちゃん」
「もう”禅さん”!からかわないでください!」
バンッと机を叩いて立ち上がると、なにやら突き刺さる視線を感じた
この視線・・・間違えなく・・・・

「小野寺、何やってんだ」
「た・・・高野さん・・・お帰りなさい・・」
「おう。高野、お疲れさん」
「・・・・・」
ギロリと高野さんは桐嶋さんを睨みつけたあと
「俺が昨日言ったこと覚えてますよね?」
高野さんの凍てつくような冷たい目が桐嶋さんを捕らえる
「おお怖。」
「あんた他部署で何やってんだ?」
ヌッと高野さんの後から現れたのは暴れグマこと横澤さんだった

「横澤まで一緒とは、相変わらず仲がいいな?」
「俺は政宗に用があって今来たんだよ。あんただって要件は知ってんだろ?」
「ああ。そうだな」

横澤さんはポケットから高野さん家の鍵を出して「返す」と一言伝えた
高野さんは「ああ。悪かったな」と同じく横澤さん家の鍵を返した

「ほら!桐嶋さん。もう仕事に戻ってください!!」
ズイズイと桐嶋さんの背中を押して、編集部から追い出す
「横澤さんも、桐嶋さんがジャプン編集部に戻るまでちゃんと見送って下さいよ!」
「なんで俺が?」
「いいから!」
バタンッと扉を閉め、ふぅーと一息ついた後、恐る恐る高野さんの方を見た

既に高野さんは編集長席に座って、腕組みをしながら俺を見ていた
あぁぁぁ・・・桐嶋さんの悪ふざけのせいで最後の最後に貧乏くじを引いてしまった・・・