二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~19-29話

INDEX|10ページ/26ページ|

次のページ前のページ
 

 午後からの審理が始まる。
裁判長:「被告人は罪状を認めますか?」
代理人:「認めます」
 一転して罪状を認めた代理人、何かを狙っているのが良く判る。
裁判長:「では、被告人は全ての罪を認めた物とします。
原告は、損害賠償請求をして下さい」
 その言葉を受けてクロノと士郎がいくらか言葉を交わした後損害賠償請求がなされた。
クロノ:「では高町なのは殺害未遂事件について、彼女が受けた肉体的苦痛を2億と算定し、彼女が受けた精神的苦痛を3億と算定します。
なお、ご家族が受けた精神的苦痛を同じく3億と認定し、その後の2度にわたる襲撃をそれぞれ1億ずつの損害と認定いたします。よって合計10億の損害賠償を請求します」
代理人:「異議あり!」
裁判長:「異議を認めます。続けて下さい」
代理人:「そもそも意識がなかった彼女に何故、精神的苦痛を請求する権利があるのでしょうか?」
クロノ:「彼女は治療の辛さから、一度自殺未遂を起こしている、それだけ追いつめられた彼女の心情は察するに余りある、本来ならこの10倍請求しても文句は無いはずだ」
 傍聴人席からも同情の声が漏れる。更に陪審員の心証が悪くなる場面だ。
裁判長:「他に意見は?」
代理人:「2度にわたる襲撃事件について、特に2回目の襲撃事件の損害賠償請求については高町家に請求する権利はない物と考えます。これについて証拠の提出をしたいと思います」
 これが相手の仕掛け所だった。それは、あの襲撃を察知され殲滅されたあの場面だった。
「助けてくれ、許してくれ」と泣き叫ぶ者も居た中で全て斬り殺したあの場面だ。
「この様に、命乞いする者まで情け容赦なく斬り殺しておいて何が損害賠償なものか?こちらにこそ損害賠償を請求する権利がある」
リンディ:「異議あり!」
裁判長:「異議を認めます、続けて下さい」
リンディ:「高町士郎氏はこの様な襲撃をすれば誰であれ、どんな状態であれ、全て斬り殺すと管理局に宣言されています。
それをふまえた上で襲撃を掛けようとした方に非があるのではないでしょうか?」
「それに彼らが最初に降り立った場所は高町家の訓練場、いわば我が家も同然の場所です。
土足で我が家に乗り込んできた強盗を殺しても、それが例え命乞いしたとしても正当防衛に当たると思われます」
代理人:「命乞いしているのだから過剰防衛だと思うのだが」
クロノ:「確かに正当防衛になりますよ、管理局法1793条第2項、正当防衛の基準に自宅へ強盗が入った場合、その時点で殺意有りと認定し殺害しても罪に問われないと有ります」
「また、管理局法1852条、管理外世界における犯罪について、管理局員が管理外世界に於いて犯罪を犯した場合、現地住民によってどの様に裁かれたとしても管理局はこれを感知しないと有ります。
従って高町家に対して損害賠償請求をすることは出来ないと思います」
裁判長:「双方とも他に意見は」
クロノ:「高町士郎氏から先ほどの件について補足があるそうです」
裁判長:「認めます」
士郎:「まずは、この場で服を脱ぐ非礼を先にお詫びしたい」
 そう言って士郎が服を脱ぐ、上半身裸になった彼の体中に無数の傷跡があった。
「この傷の中には、ああやって命乞いした者を許したが為に付けられた物もある。
経験上、あの様な場面でいちいちそれを確認する術はない、もしかしたら攻撃を受けるかも知れない。それに例え私たちに攻撃を加えなくても第2目標、第3目標を襲撃した可能性は高い、だからそれをさせない為には全て斬り殺す必要があったんだ!それに俺は、俺の家族に危害を加えようとする者は、誰であろうと許さない!例えそれが神であろうとも!」
 士郎の背中が雄弁にそれを物語っていた。
その背中が士郎の生きてきた世界を、経験を、一目で法廷を沈黙させていた。
裁判長:「他に意見はありませんか?
では無い様なの、審議に入りたいと思います、原告、被告ともその場で待つ様に」