神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~19-29話
そんなある日、事件は起きた。
はやてとなのは二人でリハビリに来ていたのだが、誰の悪戯だろうか?
二人の車椅子のタイヤが全てパンクさせられていた。
「困ったなぁ、これじゃあ帰るに帰られへん」
「ったく誰よこんなことするのは?」
二人とも、お冠だ。
(シャマル、大学終わったら車椅子の転送を頼むわ)
(了解よ、はやてちゃん、それからザフィーラが迎えに行っているから)
「ありがとうな、ザフィーラ」
(どういたしまして我が主はやて)
「あとな、なのはちゃんもお願いしたいんやけど……」
(大丈夫ですよ、女の子の一人や二人)
とまあ、格好を付けたまでは良かった。
しかし二人乗りは重かった。
それに大学病院からそれぞれの家までかなりの距離がある。
いつもならバスで15分の距離だが歩けばかなり掛かる。
ゼイゼイ言いながらなんとか二人を乗せて歩くザフィーラ、そんなときに限って会いたくないのに出会ってしまう。
「はぁーい海鳴FMの吉乃川でーす、今日のザフィーラ君は……」
(オイ、お願いだから空気読んでくれ、こんな時にもたくそしてられないんだよ)
突撃取材に辟易しながらそれでも歩く、吉乃川アナがもの凄く鬱陶しい。
(やっぱり二人乗せるのはちょっとしんどい、なんとかせねば)
そうしている内になんとか高町家に到着した。
こうなるとシャマル達が帰ってくるまでは何も出来そうにない。
ヴィータとシグナムは食材の調達に出ていた。
夕方車椅子と共にシャマルがやってくる。
あれからザフィーラは玄関でずっと伸びていた。
でもどうしよう?車椅子修理しないと使えないよ。
そこへやって来たのは忍と恭也だった。
「私が明日までに直してきます」
忍がそう言ってくれたので車椅子は月村邸に転送された。
「じゃあ夕ご飯食べていってな、そろそろシグナム達が帰ってくる頃やし」
シグナム達は、ワラビに淡竹の筍、木の芽を調達してきた。
「今夜は筍ご飯やで~」
はやての料理は旨い。
「はやてちゃんきっと良いお嫁さんになれるよ」
「やだおじさん、褒めても何も出えへんよ」
「なのはもそろそろ花嫁修業に料理を覚える?」
桃子にそう言われて真っ赤になるなのは、ちょっと可愛い。
いつも通りお風呂を済ませると八神家は帰っていく。
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~19-29話 作家名:酔仙