神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~19-29話
第29話 対決
「大学内でセクハラか?学生を無理矢理中退させる?」
シャマルの中退後数日経ってタブロイド誌の1面に出た記事である。
だがその記事はすぐに闇に葬り去られた。
学長と理事長が握り潰していたのだ。
この学長と理事長が居るからこそ久保田教授は好き勝手出来るのだ。
因みにタブロイド誌に情報をリークしたのは士郎である。
「くそう、不発か?」
そこへアリサから連絡が入る、
「おじさま、後数日待って下さらない?それからもう一度お願いします」
何か企んでいるようだ。
一方、安田記念病院
「久保田教授、良くおいで下さいました。
以前から打診のあったレーベンについて使用出来る日が出来ましたので、その打ち合わせと日程調整に来て頂きました」
安田潤司はそう言って久保田教授をレーベンルームに案内する。
丁度テル先生が練習中だった。
「これがレーベン?」
どう見ても普通に患者を手術しているようにしか見えない、
しかし、手術の返り血などは一切無い、それだけでなく手術が終わった瞬間、患者は煙のように消えて無くなる。
レーベンというシミュレータの凄さを目の当たりにする。
「これを是非使わせて頂きたい」
「宜しいですよ、ただあなたにはある人とこのレーベンで対決して頂く、それが条件です、手術方法や患者のデータなどは前日お渡しします。
また、対戦相手は当日教えますし対戦条件の同じとなるよう配慮しておきます」
「それは楽しみだ、はっはははははは」
「それで日程調整ですが今度の土日という事でいかがでしょうか?」
「良いですよ?では楽しみに待っていますよ」
木曜日の夕方、久保田教授の所に患者のデータが郵送される。
本来なら金曜の朝付くはずの物が間違って木曜の夕方届いた物だ。
「な、これは随分難しい手術だ」
(これをやるとなると恐らく相手はあの北見柊一か安田潤司ぐらいだろう?きっと凄い手術が見られるに違いない)
アクシデントのおかげで1日早く情報をを得られた久保田教授、レーベンで対決するのを子供のように楽しみに当日を迎えた。
作品名:神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~19-29話 作家名:酔仙