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神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~19-29話

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 裁判が開廷する。
裁判長:「これより、高町なのは殺害未遂事件、並びに2度にわたる高町家襲撃事件に関し損害賠償請求公判を開始する。
なお、被告は死亡している為、被告代理人を認めるものとする」
 会場には正面に裁判長、両脇に2名ずつの裁判官、向かって左側に6人の記録員、右側に15人の陪審員、記録員の前の席が原告席、陪審員の前が被告席になる。
 裁判長の真正面は証言台だ。
 また傍聴席も一杯である、殆どが執務官だがフェイトやはやて、シグナムもいる。
TV関係者も入っており、この裁判はミッドチルダ全体と本局にも中継されていた。

裁判長:「まず罪状認否を行います、被告代理人、罪状を認めますか?」
代理人:「高町なのは殺害未遂について、否認します、あくまでも傷害事件として頂きたい」
クロノ:「異議あり!」
裁判長:「異議を認めます、続けて下さい」
クロノ:「これをご覧下さい、これは亡くなったバルチェス捜査官のデバイスから回収した映像です」
 その映像の中でバルチェスは機械兵器達に「殺して奪え」と命令していた。
「これは明らかに殺意があり、傷害罪とは認められない、どう見ても殺人罪であると言えます」
陪審員:「殺意を認定します」
クロノ:「更には管理局法に違反した機械兵器を持ち込み、将来有望な魔導師であった彼女を確実に殺そうとした、もし救助が後少し遅れていたならば彼女はこの世にいなかったことは確実です」
代理人:「異議あり!」
裁判長:「異議を認めます、続けて」
代理人:「何故確実に死んでいると言えるのでしょうか?現に今彼女はこの場に来ている訳ですし確実に死んでいたとは言い難い」
クロノ:「異議あり!」
裁判長:「異議を認めます、続けて」
クロノ:「ここで証人の出廷と証拠物件の提出を行いたいと思います」
裁判長:「証拠物件をこれへ、証人入って下さい」
 証人として呼ばれたのは、ヴィータとシャマルだった。
証拠として提出されたのは、ミッドチルダの医師が書いた診断書、
「あの日あたし達はレリックを受け取って……」
 ヴィータの証言が続いている。
そして映し出された襲撃の瞬間、背中から胸まで貫通する鋼鉄のブレード、
吹き上がる血飛沫、誰もが目を覆いたくなる凄惨な場面だ。
そしてヴィータの悲鳴を受けて駆け付けるシャマル、
現場での応急処置が始まる。
「当時私は医学生でまだ皮膚の縫合しか知らない状態でした、でもやるしかなかった……」
 血まみれになりながら懸命に続く応急処置、そしてミッドチルダの病院で告げられた無情の一言、これだけでも家族に与えた精神的苦痛は相当なものだろう。
 それでもなのはが助かったのは安田記念病院へ運んだからだった。
「あの病院は97番世界に於いて奇跡の病院と呼ばれているそうです。
未だこの手の重症患者を誰一人死なせたことのない病院としてその筋では有名な病院だそうです」
 そして映し出される手術の様子、信じられない光景を目の当たりにすることになる。
なのはや家族ですら知らなかった手術中のやり取り、動かなくなったなのはの心臓を懸命にマッサージするテル先生とシャマル、それはぎりぎりの賭けだったとはっきり判る。
 ミッドチルダの常識ならば移植用の臓器になるか見捨てられるかの選択しかない場面だ。
それを、懸命の努力によって救命していたのだ。
 それはあまりに凄惨な場面だった。
その映像は説得力を通り越した圧倒的なまでの説得力で法廷を沈黙させた。

 ここまで裁判は順調に進んでいる、経験の浅いクロノにとって非常に楽な裁判に思えた。
(おかしい、これではまるで茶番劇も良い所じゃあないか?普通なら早々に罪状を認めその上で請求額の減額交渉に入るのが賢い裁判のやり方の筈、これではまるでいくらでも取って下さいと言っている様な物だ。
それに陪審員の心証もすこぶる悪い、相手はよほどの新米か?何か罠を張っているか?それとも何か別の思惑があるのか?)
 リンディはそう考えて、相手の一言一言に注意を払っていた。
裁判長:「では、高町なのは殺害未遂事件について、殺意を認定し明らかな殺人事件だったとする。
なお、ここまで時間を取りすぎたので一旦閉廷し午後から審理の続きを行う。
午後からは2度の襲撃事件について審理を行うものとする」