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神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~30-40話

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 全国的に冬休みである、リハビリも学校も冬休みである。
因みにアリサはあの後転送機でフランスへ、
今はロスでパーティーをハシゴという強行日程である。
 冬休みと言っても特段やる事はない、まだ不自由な体ではどこへ行く事も出来ずに暇を持て余していた。
夕方になればはやて達がやってくる。それまで暇を持て余す事になった。
 一応宿題はほぼ終わらせてある。残っているのは書き初めくらいな物だ。
 やる事無いというのは結構辛い物だ。
始めはTVを見る……1時間で飽きた。雑誌を読む……30分で限界を迎える。こう言う時は独りHだ……その気にならない。こんな時に限って家族はお店だ。
はやて達が来るまで後2時間ある。でもする事がない。
「どうしよう?お散歩に出ようかな?でも寒いの嫌だし冷えると傷跡が痛いんだよね」
 手術して1年、まだ体が治っていない為天気の変わり目やよく冷える日の前の晩は、傷跡がもの凄く痛い、刺すような痛みではなく芯から重く鈍い痛みが込み上げてくるのだ。
ベッドで横になっていたなのはだがこたつへ移動する。
「は~おこたでぬくぬくが一番だよ」
 ついでにミカンを一個ばかり食べ始める。
そしてついウトウトし始めたのがその10分後だった。
 夢を見ていた。
あの時の夢、まさに悪夢、何故自分が刺されたのか分からなかった。
その夢を見るたびに思う、自分が如何に未熟で弱かったのか?
あそこは上に回避する場面だった。
 高い場所からの攻撃なら簡単に倒せていた相手、接近に気付かず、いつの間にか囲まれて一突きに刺された。
もう死んだと思った。
 それから始まる長い夢、そして目覚めた瞬間見知らぬ病院だった。
いつ見ても嫌な夢だ。
終わった後に恐怖とやるせなさだけが残っている。
自分の弱さに負けそうになる。
おまけに今はこんな体だ。心の底から挫折を味わう嫌な夢、また今日も同じ夢を見た。
「……ちゃん……のはちゃん、なのはちゃん?」
「あ、はやてちゃん」
 いつの間にかはやて達が来ていた。
もう、夕方のようだ。
「もう、おこたで寝ると風邪引くで?」
「ゴメンゴメン、つい寝ちゃった」
 今日は久しぶりに八神家全員集合である。
リィンとヴィータがこたつに潜り込んでくる。
夕食までにはまだ時間がありそうだ。
「ねえシャマル先生?日本にはいつまで居られるの?」
「元日までかな?二日からICUだから」
 もう仕事の予定が入っている。
「ねえ、シャマル先生、向こうではどんな風なの?」
「もの凄く忙しいわよ、向こうではねICUで仕事をしているの、ICUはね常に命の危険がある人たちが運ばれてくるの、この前なんか心臓を撃たれた子が運ばれてきてね……」
 シャマルはあの時の体験を語る。
そう、見捨てられようとする命を救ったあの瞬間を……
本当はあそこから自分も逃げ出したかったほどギリギリの手術だった事、でも逃げ出さなかったのは自分の信念を曲げたくなかったから、そして見捨てられようとしていた子が何となくなのはに似ていたから絶対に見捨てられなかった。
 実はなのはもまた見捨てられた者の一人なのだ。
ミッドチルダの医者もまたあの子と同じ理由でなのはを見捨てていたのだ。
自分たちの手に負えそうにないから、そこで見捨てても罪には成らないから、それだけの理由で命を諦めるそんな医者だった。
「いくら患者さんが生きる事を諦めていなくても、医者が諦めたらそこで命が終わってしまうの、私はそんな医者にだけはなりたくない、絶対に救う、絶対に諦めない、そんな医者になれるように努力するつもりよ」
 いくら努力しても救えない命もある。
でも諦めなければいつか必ずその努力は報われる日が来る。
救えなかったその命を次の機会には救えるようになる事だって有ると、シャマルはそう話した。
 そんな話を聞きながらなのははそっとシャマルに抱き付いた。
誰にも見られないように、シャマルの胸で涙を流した。
そんななのはを優しく抱き締めるシャマル、この瞬間だけはなのはの女神様だ。