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神手物語(ゴッドハンドストーリー)~名医の条件~49-59話

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 同じ頃、海の向こうではシャマルが次の免許試験に明け暮れていた。
もうすぐ6月、シャマルの試験もいよいよだ。
これを取って卒業試験に臨みたい所だ。
 でも現実的に彼女は非常に忙しい、医者と学生の両立はもの凄くきついのだ。
シャマルにとって脳神経外科は問題がなかった。
既に腕や足を繋ぐ手術で神経の接続もやっている。
脊髄もその延長線上にある脳の方も脳腫瘍摘出術など積極的に参加して腕を磨いてきた。
 病院中の誰もが彼女の熱心さとタフさに驚いた。
殆ど休み無く病院に詰めてICUで働く姿はほぼ毎日見ている。
一体いつ休んでいるのか?何時寝ているのか?と心配するほどだった。
 シャマルにとって一番のネックになったのは内科だった。
内科は殆どが投薬治療だ。
何万種類の薬の効果を覚え適切に使用しなければならない。
薬の組み合わせ方によっては、それが毒に変わったり思いも寄らない効果をもたらしたりする。
 内科の先生は投薬治療のエキスパートなのだ。
薬の治療はすぐに効果が現れない事が多い、劇的に効く薬なんて物は本当にごく一部でしかないのだ。
場合によっては何年も飲み続けないと効果のない薬さえあるのだ。
 シャマルはそんな薬の殆どを覚えなければならない。
同じ病気の人間でも症状や体質によって使う薬は違うし、体質によっては使えない薬もある。
 薬のエキスパートは薬剤師以上の能力が求められるのだ。
患者にとって出来る事なら手術はしたくない物だ。
そう言う患者を治療する為にも投薬治療はなくてはならない物だった。
 シャマルは仕事が終わってなお薬の辞典とにらめっこだった。
それから2週間必死で勉強するシャマルの姿があった。
 そして見事に脳神経外科と内科の二つの免許に受かっていた。
後一月で卒業試験を受けて卒業である。

 いよいよシャマルが日本に帰ってくる。
もう6月に入っていた。